浜田省吾チャリティーコンサート “Journey of a Songwriter” since 1975 “青の時間”
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最終更新日:2025/01/16
ライヴ エルヴィス・コステロ, ビートルズ, ボブ・ディラン
開演予定の3分くらい前になると、浜田ヴォーカルのBGMに合わせて手拍子が発生。そして18時きっかりに客電が落ち、バックドロップには青いクルマが走る映像が。そして、荷台にはギターを弾く浜田の姿があった。
ステージは、バンドメンバーが先に入場してスタンバイし、最後に浜田が姿を見せる。『MY OLD 50'S GUITAR』『BASEBALL KID'S ROCK』と、アルバム『誰がために鐘は鳴る』の冒頭2曲でスタートだ。
バンドは、向かって右から左にギター長田、キーボード福田、ベース美久月、キーボード河内、ドラム小田原、コーラス中嶋と竹内、サックス古村、トランペット佐々木、ギター町支。浜田を支える、お馴染みの面々だ。浜田はグレーのタートルネック姿で、驚くほど細身だ。
浜田は昨年からファンクラブツアーをおこなっていて、そして今回はチャリティーライヴだ。正式タイトルは、「SHOGO HAMADA J.S.Foundation 人道支援プロジェクト サポートの為のチャリティーコンサート “Journey of a Songwriter” since 1975 “青の時間”」となっていた。
2023年のアリーナツアーでは、セットリストを1976年から1986年までで組んでいた。今回は、一部を除きその後の年代の作品でセットリストを組んでいるとのこと。『J.BOY』は演らないと、早々に明かしてしまう(笑)。
というわけで、『FATHER'S SON』『誰がために鐘は鳴る』『その永遠の一秒に~The moment of the moment』からの曲が中心になり、ライヴは進む。リリース時はツアーのセットリストの中心だったと思うが、現在ではレア度が高い曲もあったと思う。たとえばボブ・ディランやエルヴィス・コステロがそうであるように、何パターンものセットリストが組めるのも、この人の強みだ。
『詩人の鐘』で第1部を締め、約20分の休憩に。バックドロップに流れたのは、2017年ファンクラブイベント「The Moonlight Cats Radio Show」の、セピア色に加工された映像だった。浜田は紺か黒のジャケット姿で、スタンドマイクを握り、リラックスした様子に見えた。時折、町支にヴォーカルを預けてもいた。
そして、2023年さいたまスーパーアリーナ公演のリハ中にセンターステージで演奏された『Mr.Moonlight』など2曲の映像が続いた。小田原、美久月、長田、町支、福田、そして浜田の6人で演奏されたが、さいたまのキャパシティで無観客で演奏するのは、不思議な光景だった。上から見下ろすアングルも多かったので、ドローンを飛ばして撮影したのかな。
今回のライヴ、半数近くはアコースティックセットで、第2部もそれで始まった。『LONELY-愛という約束事』は、『WASTED TEARS』バージョンだったと思う。客の年齢層をしっかり認識している浜田は、シッティングで楽しめる配慮を欠かしていない。
MCでは、YouTubeにアップロードしている動画に書き込みされるコメントを、自ら読んでいることを明かした。年齢や世代に言及したコメントが多いと言っていたが、70過ぎてクリエイターとしてもパフォーマーとしても、衰えるどころかますます冴え渡っていると思わせてくれるのだから、そりゃそうだろう。
『Theme Of “Midnight Cab”』は、福田のキーボード、美久月のウッドベース、佐々木のトランペットの三者の音だけをバックに、浜田が日本語で語りを入れる異色中の異色スタイルだった(『Save Our Ship』では、英語での語りで収録されている)。
そして、後半になると攻めのモードにシフト。『…To Be “Kissin' You”』からは1曲1曲が長尺になり、『境界線上のアリア』ではバックがド派手でアブストラクトな映像になり、よく見ると歌詞が英語になって飛び交っていた。浜田とデジタルに寄った表現は一見ミスマッチだが、それはチャレンジだと理解している。
ライヴは2度のアンコールを含む、計3時間にも渡った。いつもながらに、お腹いっぱいにさせられるパフォーマンスだった。今回は、小田原をいじりつつレベッカ『フレンズ』を歌い、美久月をいじりつつビートルズ『All You Need Is Love』を歌い、コーラスふたりにピンク・レディー『U.F.O.』を歌わせるという、おちゃらけたコーナーもあった。
そして、個人的には、このライヴを最前列で観る幸運に恵まれた。今まで10回以上浜田のライヴを観ているが、もちろんはじめてだ。近年の浜田のライヴは、当日入場してはじめて自分の座席がわかるスタイルだが、この日QRコードをかざしてプリントされた紙には1階4列目とあったのが、いざ席に行ってみると前3列がなかったのだ。
なので、浜田はもとより、バンドの演奏も、特に前列の人については手に取るようにわかった。町支と長田はギターを何本も使い、古村は最大4本のサックスのほかマンドリンも弾いた。佐々木はトランペットとパーカッションという、信じられない二刀流だった。何度もステージ前方でソロを弾く町支のブーツは、結構派手めで洒落ていた。
そして、実は浜田も頻繁にギターを替えていた。数種類のテレキャスやセミアコのほか、『境界線上のアリア』では終盤にストラトを手にし、同じくストラトを弾く長田と向かい合いながらトレモロアームを駆使していた。自らをソングライターと位置づける浜田が、ギタリスト然としたさまを表現していたのは、意外であると同時に嬉しかった。
この日の公演は、カメラ撮影がされていた。ワタシのすぐ目の前にも、横移動するカメラセットをはじめ何人もの撮影スタッフがいた。近い将来、DVDとしてリリースされるのを楽しみにしている。何度か映り込んでいると思うし(笑)。
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