椎名林檎と彼奴等と知る諸行無常(DVD)
椎名林檎が2023年に行ったツアー「諸行無常」の映像を観た。最終日5月10日の東京国際フォーラム公演をフル収録している。
個人的には、この公演の前2回、5月9日の国際フォーラムと4月27日の神奈川県民ホールに足を運んでいる。前者は1階席右側中ぐらい、後者は3階席だった。なので、ステージ全体についてはおおよそ観ることができたが、椎名林檎や各バンドメンバーの細かいところまではよく見えず、この映像ではじめてわかったことが結構あった。
彼女は何度か衣装替えしているが、靴はいずれもヒールが高かった。アンコールで履いていたブーツのヒールは特に高く、よく歩けるなと思ってしまった。最初の衣装ではいくつかのワッペンが貼り付けられていて、モッズのターゲットマークやNIRVANAのロゴなどが確認できた。
バンドメンバーは計5人で、ギター名越とベース鳥越はお馴染みだが、ドラムの石若が林檎のツアーに参加するのははじめてだと思う。キーボードがふたりというのは、彼女のツアーでは珍しいと思った。スイッチングはもちろん林檎を中心にしているが、5人についても相応にピックアップされていた。
今回はダンサーはいないが、その代わりバックドロップの映像にダンサーを出し、これが1階席の目線で観ると同じステージで踊っているように見えた。会場では、英語詞の曲で日本語字幕を向かって右上部の幕に映していたが、この映像では画面右側に表示されていた。
ファーストアルバム『無罪モラトリアム』の『同じ夜』をピアノ弾き語りする一方、東京事変の『緑酒』や新曲『私は猫の目』を演奏するなど、見どころは多い(もちろん、これ以外にも数多くある)。過去のツアーと被らず、常に新しいもの、そしてレトロスペクティブなものを混合させて提供せんとする、彼女の姿勢が素晴らしい。
映像本編の後に、特典映像として2曲が収録されている。ツアー前半に演奏されていた、安全地帯『ワインレッドの心』のカヴァーと、セルフカヴァーの『幸先坂』だ。前者では、林檎は低い声で歌うことで、意外と原曲のイメージを崩していなかった。
『意識』のとき、映像にはDaokoがフィーチャーされていた。『人生は夢だらけ』では、林檎はボクシンググローブをつけて歌っていた。このときから1年経った今年の状況を知った上で観ると、これらが伏線にもなっていて、そして回収されていることが感じられ、ニヤニヤしてしまう。
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