椎名林檎『Electric Mole』
椎名林檎が、2003年8月におこなった武道館公演を収録したDVD『Electric Mole』を観た。彼女にとっては初武道館公演であり、かつ、当時は椎名林檎名義での最後のライヴになる(翌2004年からは、東京事変としての活動を開始している)。
この武道館公演は、ワタシも観に行っていた。2階席だったので、当人の表情など細かいところまでは、そのときはわからなかった。メンバーは全員浴衣姿だったのだが、椎名林檎の浴衣の帯に林檎のデザインがあしらわれていたのには、このDVDを見て初めてわかった。カメラはステージ上のメンバーの細かな動きをも追い、またステージと客席とを同じフレーム内で捉えたショットは、臨場感に溢れていた。
そしてこのDVDは、単に武道館公演だけを収めたのではなく、合間合間にドキュメンタリー映像も挿入。スタジオでのレコーディング、衣装合わせ、亀田が髪を切ってモヒカンにしたとき、楽屋裏、などなどを克明に映し出している。
挿入されているのは、ドキュメンタリーだけではない。東京事変名義で飛び入りでシークレットライヴをしたことがあって、そのときの映像もあるのだ。画質は悪く、音もひどいが、その分だけリアリティがある。シークレットのことは知ってはいたが、それがこんなふうに映像として収められているとは知らなかった。
この武道館公演は、当時のソロアーティスト椎名林檎の総決算とも言え、緊張感に満ち、充実した仕上がりになっている。難を言えば、ラストの『りんごのうた』とその後のスクリーンの字幕が収録されず、曲の途中で突然DVDが終わってしまっている点だ。それともあのラストは、その場にいた者だけが体験できたことなのかな。
ワタシが持っているのは初回版で、パッケージもハードカバー本仕立てになっており、その中は彼女のキャリアを総括するような作品の紹介、及び写真で彩られている。
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