クリスタル殺人事件(1980年)
イギリスの片田舎で映画の撮影が行なわれることになり、女優マリーナと夫で監督のジェイソンが長期滞在することに。地元の人たちと盛大なパーティーが開催され、マリーナの大ファンの女性ヘザーが、かつて彼女の慰問公演を観て感動したことを熱く話していた。しかし、彼女から受け取ったカクテルを飲んだ直後、ヘザーは亡くなってしまう。
警察が事件の捜査を進める一方、映画の撮影も進められる。マリーナは過去に風疹を患ったおかげで障害児を産んでしまい、それが原因で鬱状態になっていて、今回は再起を掛けていた。すると、今度はジェイソンの秘書エラが毒殺されてしまう。怪我をしてパーティーに参加できなかったミス・マープルは、警部で甥のクラドックから話を聞き、推理を巡らせる。
アガサ・クリスティ原作小説の、映画化になる。ミス・マープルはエルキュール・ポアロに次ぐ名探偵とされているが、少なくとも本作では探偵業をしているわけではなく、一般人として甥のクラドックから聞いた情報をもとに推理している。序盤でケガをしてしまったこともあってか、現場に赴くのは犯人を確信してからの1回のみだ。
実質的な主人公はマリーナで、次いでジェイソンだと思える。彼女が鬱状態になったきっかけは終盤でミス・マープルが解き明かすが、彼女自身は序盤でそれを知ってしまっていた。彼女のライバル格でかつてジェイソンを取り合ったローラの登場もあるが、あまり重要ではなかった。
キャストは、ミス・マープルにアンジェラ・ランズベリー。本作の2年前に公開された『ナイル殺人事件』で、船の乗客のひとりサロメを演じている。マリーナはエリザベス・テイラー、ジェイソンはロック・ハドソンで、『ジャイアンツ』でも夫婦役だった。
撮影中の映画でマリーナの相手役になっていた若い男が、なんとピアース・ブロスナンだった。セリフのない端役だったが、とんでもない美形だった。この人にとって、ほぼキャリアの最初になるようだ。監督はガイ・ハミルトンで、ショーン・コネリー期とロジャー・ムーア期の007シリーズを計4作監督している。
関連記事
-
L.A.ギャング・ストーリー(2013年)
1949年のロサンゼルス。マフィアのボス、ミッキー・コーエンとその巨大犯罪組織を撲滅するため
-
レッド・スパロー(2018年)
ロシアの天才バレリーナのドミニカは、演技中の事故により足を負傷。バレリーナとしての道を断念す
-
ARGYLLE/アーガイル(ネタバレ注意)
人気スパイ小説『アーガイル』を執筆する、作家のエリー・コーンウェイ。結末のアイディア出しのた
-
黒いジャガー(1971年)
ニューヨーク。黒人の私立探偵シャフトは、ハーレムを牛耳るギャングのボス・バンピーから、何者か
-
ソルト(2010年)
ロシアからの亡命者オルロフが、CIAに確保された。オルロフは、ロシアからイヴリン・ソルトとい