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レッド・ドラゴン(2002年)

レッド・ドラゴン

FBI捜査官のグレアムは、連続殺人事件の捜査において、精神科医ハンニバル・レクター博士に協力を依頼していた。しかしレクター自身が犯人だと気づき、重傷を負わせられながらもなんとか逮捕する。その後グレアムはFBIを退職、レクターはボルチモアの精神病院に収監される。

数年後、上司だったクロフォードの依頼によりグレアムは一時的に復帰。連続一家惨殺事件の捜査のため、レクターに助言を求める。一方、ビデオ加工技師のダラハイドは、自身の障害や幼少期に受けた虐待によるトラウマを抱えていた。彼は、巨大な赤い龍の絵画に自身を重ね、人間を超えた存在になる願望を持っていた。

ハンニバル』の翌年に劇場公開された、シリーズ3作目になる。しかし劇中の時間軸は3作中最も古く、1980年代だ。

冒頭がグレアムとレクターの接近戦になり、グレアムは腹を刺され、レクターは銃弾を浴びる。早々にふたりとも死亡?と一瞬思わされるも、レクターは逮捕されて法廷て裁かれ、グレアムは職を離れ家族との時間を過ごすことに。レクターの収監先はボルチモアの精神病院で、ここで既に『羊たちの沈黙』とつながってくる。

獄中でのレクターとグレアムとのやりとりだが、ふたりはほぼ対等に渡り合っている。自分を追い込み逮捕した人物として、レクターはグレアムを認めている節もある。しかし、ダラハイドがレクターを信望していて手紙でコンタクトを取り、レクターは次のターゲットをグレアムの家族にするよう仕向けている。

中盤以降は、ダラハイドの描写が増える。会社の同僚の女性リーバに恋心を抱き、リーバもまた盲目の身から偏見に晒されていたことから、ふたりは互いにぎこちないながらも交際に発展。しかしダラハイドには殺人鬼としての顔もあり、グレアムの策略で偽の記事を書いた記者には、背中に龍のタトゥーを見せて誇示した後、火だるまにして殺害している。

キャストは、レクターはで、劇中では最も古い時間軸ながら、前2作と違和感のない見た目に仕上げている。実は出番はさほど多くないが、犯罪者としての狂気はこの収監中に一層磨かれたのではと思わせるものがある。グレアムはで、アンソニー・ホプキンスに対抗しうるキャラクターとして申し分ない。

ダラハイドは、なんとレイフ・ファインズだった。大柄のゴツい体型と短髪は、後のでのMや、『キングスマン:ファースト・エージェント』の初代アーサーとはつながらなかった(『ハリー・ポッター』シリーズのヴォルデモートは、特殊メイクがされすぎていて、そもそも結びつかない)。本作の主人公は、実質的にこの人ではと思わせる、狂気と悲哀に満ちた演技だ。

クロフォードはハーヴェイ・カイテル、グレアムの妻モリーはメアリー=ルイーズ・パーカー(『RED』シリーズに出演)、記者はフィリップ・シーモア・ホフマン(『ハンガー・ゲーム』シリーズに出演)と、全体的に結構豪華。精神病院の所長は、『羊たちの沈黙』と同じくアンソニー・ヒールドが演じている。

監督はブレット・ラトナーという人で、ワタシが観た中では『ペントハウス』『ラスベガスをぶっつぶせ』を手掛けている。

ラスト、FBI新人捜査官のクラリス・スターリングが面会を希望しているとレクターに告げられたところで、エンドロールとなっている。

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