オリヴィア・ロドリゴ(Olivia Rodrigo)@有明アリーナ
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最終更新日:2024/09/29
Olivia Rodrigo
開演10分くらい前、ステージのバックドロップに、アルバムタイトルにしてツアータイトルでもある「guts」の文字(映像)がロウソク地で表示された。時間の経過と共にロウソクが溶け、文字が崩れていく演出だった。
そして3分前に客電が落ち、場内は大歓声に。バンドメンバーが既にスタンバイしている中、オリヴィアが廊下を歩き階段をあがる映像が流れる。そして、ステージ上に本人が姿を見せた。『bad idea right?』でスタートだ。
アリーナ席は前方がVIPスタンディングエリアになっていて、ステージ両サイドから花道が伸びていた。オリヴィアは向かって左の花道で挨拶のMCをし、そしてステージに戻ると『vampire』『drivers license』と、キラーチューンを序盤から惜しげもなく放ってくる。『teenage dream』はピアノ弾き語りのスタイルで、バックには幼少時の彼女の映像が流される。バレエを踊ったり、カメラ目線で歌ったり。かわいい。こんなのずるい(笑)。
バンドは、向かって右にドラム、ベース、ギター。中央はスペースを空けていて、左にギター、コーラス2人、キーボード。全員女性だった(ギターのひとりはクイアらしい)。更には、曲により8人の女性ダンサーが出てきて、オリヴィアのバックで踊っていた。この日はドラマーの人の誕生日のようで、オリヴィアがメンバー紹介した際に彼女のところでハッピー・バースデイを歌った。
ライヴはいくつかのパートで構成されていて、オリヴィアもその都度衣装替えをしている。中盤のアクト3、なんとアリーナ後方のPA卓に三日月のセットがあり、天井からは星のオブジェがさがっていた。そしてオリヴィアが登場し、三日月に腰掛けて『logical』を歌った。彼女を乗せた三日月はゆっくりと上昇し、そして回転した。
彼女は歌いながら客席に手を振り、その度歓声が湧く。そりゃそうだろう。ステージから最も距離がある位置のはずが、このときだけは至近距離で彼女を目の当たりにすることができたのだから。ワタシの席はアリーナEブロックで、ステージよりもこのときの方が彼女との距離が近くなった。三日月演出があることはうっすら聞き知っていたが、こういう構成とは思っていなくて、度肝を抜かれた。
再びステージに戻ったオリヴィアは、女性のギタリストと背中合わせになって歌ったり、クイアのギターの人とふたりで向かって右の花道に腰掛けて2曲歌ったり、と、見せるだけでなくじっくり聴かせることも怠らない。自らギターを弾く場面もあって、彼女はなんでもやっている。
ダンサーとのコンビネーションも見事だった。彼女たちは、あるときはオリヴィアを中心にして天井からのアングルで花のようなフォーメーションを成したり、オリヴィアを先頭に一列になって足を進めたり、オリヴィアよりも一歩引いた位置に横一列になって踊りをシンクロさせたりと、ステージを彩った。『deja vu』は、オリヴィアの歌、バンドの演奏、ダンサーの踊りが結集された、何度目かのクライマックスだったと思う。
アクト4でオリヴィアは真紅のスパンコールのボディコンに身を包み、セクシーな大人の雰囲気に。M字開脚もやっていて驚いたが、海外の人は気にしないのかな?花道の一部はスケルトン状になっていて、下からのカメラアングルもあったのだが、挑発風の表情を向けてもいた。
本編ラストを『all-american bitch』で締め、アンコールで彼女は胸元に「KAWAII」とプリントされたTシャツ姿になっていた。大ヒットナンバー『good 4 u』を経て、オーラスは『get him back!』。演奏が終わるとオリヴィアは客席に背を向けた状態で両手を振り、緞帳で下がっていく。もう少しで見えなくなるというその瞬間、彼女はジャンプして手を振った。最後の最後まで、この人のサービス精神は徹底していたのだ。
セットリスト
【Act1】
bad idea right?
ballad of a homeschooled girl
vampire
traitor
drivers license
teenage dream
【Act2】
pretty isn’t pretty
love is embarrassing
making the bed
【Act3】
logical
enough for you
lacy
so american
jealousy, jealousy
happier
favorite crime
deja vu
the grudge
【Act4】
brutal
obsessed
all-american bitch
【Encore】
good 4 u
get him back!
リリースしたアルバム2枚の、若手女性シンガー。彼女は、最早そんな認識の枠には収まりきらない。歌も踊りもギターもピアノもこなして、とてつもない運動量だ。度胸もすわっていて、それは子役出身というキャリアを活かしているからかもしれない。それでいて常にファンサービスを惜しまず、笑顔を振り撒いている。彼女の今後が益々楽しみで、もちろん褒め言葉だが、素晴らしいというより末恐ろしいアーティストだ。
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