イエス（Yes）『Live at Montreux 2003』

2003年のモントルー・ジャズ・フェスティバルにイエスが出演していて、ライヴアルバムやDVDとしてもリリースされている。

このときのメンバーは、ジョン・アンダーソン、スティーヴ・ハウ、クリス・スクワイア、アラン・ホワイト、リック・ウェイクマンの5人。2001年には4人でアルバム『Magnification』をリリースしてツアーを行い、その後リック・ウェイクマンが加入したという流れ。この5人で、モントルーの2ヶ月後に来日公演も行っている。

フェスティバルということもあり、当然ながらイエス特有のステージセットを組むことはできず、強いて言えばアラン・ホワイトのドラムセットに装飾がされているくらい。そして、リック・ウェイクマンのキーボードセットが、かなりスペースを食っている（笑）。カメラのスイッチングは4人が中心で、アランが気の毒に思えてしまう。ただ、『To Be Over』のアウトロではこの人のソロがあり、フォーカスされていた。

2003年はメンバーが50代半ばから後半に差し掛かっていて、顔や体型に年輪が刻まれている。そうした見た目はさておき、演奏力は衰えるどころか一層冴え渡っているように思えた。今回、スティーヴ・ハウだけでなく、リック・ウェイクマンの手元までもが何度となく映し出されたのは、すごいことだと思った。

セットリストも興味深い。『Magnification』からはタイトル曲を含む2曲にとどめ、ほぼキャリア横断的な構成にしている。そして、傑作『Close to the Edge』から全3曲中タイトル曲以外の2曲を、そして代表作『Fragile』からは全9曲中5曲を演奏している。ドラマー以外は、このメンバーで制作した2作だからだと思う。

『And You And I』の終了後は数分間スタンディングオベーションとなり、終盤の『Fragile』からの固め打ちはこれまた圧巻。また、お約束とも言えるメンバーのソロコーナーもあって、スティーヴ・ハウは『Clap』を、ジョン・アンダーソンは恐らく2003年リリースのベスト盤が初出、しかもアメリカ盤のみに収録されている『Show Me』を、リック・ウェイクマンは自身の曲を披露。クリス・スクワイアとアラン・ホワイトは、『Whitefish』の後半でソロをプレイした。

01． Siberian Khatru / Close to the Edge
02． Magnification / Magnification
03． Don’t Kill The Whale / Tormato
04． In The Presence Of / Magnification
05． We Have Heaven / Fragile
06． South Side Of The Sky
07． And You And I / Close to the Edge
08． To Be Over / Relayer
09． Clap / The Yes Album
10． Show Me / The Ultimate Yes: 35th Anniversary Collection
11． Rick Wakeman Solo Medley
12． Heart Of The Sunrise / Fragile
13． Long Distance Runaround / Fragile
14． Whitefish (Including “Fish”) / Fragile
15． Awaken / Going for the One
16． I’ve Seen All Good People / The Yes Album
17． Roundabout / Fragile

キャリアが長くメンバーチェンジが激しいバンドは、ともすればネガティブなイメージを持たれがちだ。しかしそれは、何通りものライヴができるという懐の深さを備えていて、実行できることの裏返しでもある。