15時17分、パリ行き(2018年)
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最終更新日:2024/08/21
伝記/実話に基づく クリント・イーストウッド, パリ
2015年8月21日に、フランスのパリへ向かう高速列車の中で起こった無差別テロ、「タリス銃乱射事件」を題材にした作品になる。その場に居合わせた3人のアメリカ人青年とイギリス人ビジネスマンがテロリストを抑え込み、負傷者は出たものの、被害を小規模に抑えることができた。
スペンサー・ストーン、アンソニー・サドラー、アレク・スカラトスは、少年期からの親友だ。3年はキリスト教系の小学校に通っているが、規律に順応できない問題児とされていた。やがて転校などで3人はバラバラになるが、青年になってからも交流は続いていた。スペンサーとアンソニーは軍人になり、アレクは大学生になっていた。
スペンサーとアレクはヨーロッパ旅行の計画をたて、アンソニーも誘う。2人はイタリアを、アンソニーはドイツを観光し、オランダのアムステルダムで合流。次の行き先をパリに決め、15時17分発の高速鉄道に乗車。その列車には、イスラム系過激派のテロリストも乗車していた。
(『ユナイテッド93』のように)列車内の事件に集中して描写されるのかと思いきや、中盤までは青年3人の半生に焦点を当てるという、まさかの展開に。ヨーロッパ旅行での珍道中にこそ和ませられるが、事件の直前までは正直なところ退屈してしまった。
しかし、それらは伏線にもなっていて、回収される構造になっている。スペンサーは誰かを救いたいという想いから軍人になるが、希望していた部隊への配属はならず、一時は不貞腐れる。それでも、身を置いた部隊で習得した柔術や救命などの技術と判断力が、極限の場面で生きてくる。
公開時にもセールストークになっていたが、3人のアメリカ人青年は本人が演じている。演技経験のない一般人たちのはずだが、浮くことなく作品に溶け込んでいる。監督はクリント・イーストウッドで、当時88歳。老齢にもかかわらず、という言い方は失礼かもしれないが、表現にかける情熱は、衰えるどころかますます冴え渡っている。
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