フジロック’24(Fuji Rock Festival)を振り返る(2) – アーティスト編
【期待以上によかった】
ザ・キラーズ、クラフトワーク、スペルバウンド、ザ・ラスト・ディナー・パーティー、キム・ゴードン、ベス・ギボンズ、フォンテインズD.C.、グラス・ビームス、ジーザス&メリー・チェイン、アス、WEEKEND LOVERS 2024、チャラン・ポ・ランタン、フリコ、ワイノー
【期待通りによかった】
ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ、10-Feet
【儲けもの】
さらさ、クロワッサン・サーカス、マン・ウィズ・ア・ミッション、betcover!!
【まずまず】
ルーファス・ウェインライト
【う、うーん】
フローティング・ポインツ、アイドレス
洋楽アーティスト14組、日本人アーティスト8組、サーカス1組の内訳で、計23組を観た。ステージ別にすると、グリーンステージ9組、ホワイトステージ2組、レッドマーキー8組、苗場食堂1組、ピラミッドガーデン3組となった。
つまり、今年はフィールド・オブ・ヘヴンやジプシーアヴァロンをはじめとする、奥地には行かなかった。ヘヴン方面へのボードウォークも、歩かなかった。こういう年もある。
ヘヴンで観たいアーティストが、いなかったわけではない。ジャズバージョンのオリジナル・ラヴ、シアターブルック、スガシカオといった辺りは、気になっていた。がしかし、他のアーティストとの被りや移動に要する時間などを考慮し、スルーした。観たいアーティストを観て楽しむためには、いつ休み、いつ食事をとり、いつトイレに行っておくかが重要なのだ。
その代わり、今年は2つのステージにはじめて足を踏み入れた。苗場食堂は、集まれて200人くらいだと思われる小さなステージだ。以前から気になってはいたが、例年だいたい19時くらいからスタートしていて、主要ステージのアーティストと被って観られなかった。今年は早い時間帯からはじまったこともあり、ワイノーのときに入ってみた。
ピラミッドガーデンは、フィールド・オブ・ヘヴンとは真逆の端っこに位置し、通常の入場ゲートとは異なる専用のゲートから入場した。キャンプサイトの中を通り抜け、気持ちのいい空気が漂っていた。目当てはチャラン・ポ・ランタンだったが、時間的に余裕があったので前のアーティストと後のサーカスも観ることができた。
上記の通り、今年は個人的に期待を上回るパフォーマンスのアーティストが多かった。毎日どこかに出没していたアス、チバへのリスペクトがにじみ出たWEEKEND LOVERS、ソロではあるがポーティスヘッドの片鱗も見せてくれたベス・ギボンズ、実験性全開のオルタナ女帝キム・ゴードン、5人全員のキャラが立っていたザ・ラスト・ディナー・パーティー、セッティング中に『Kick It Out』を放つなどブンブンとの融合を果たしたスペルバウンド、などなど。
クラフトワークは過去10回観ているので、どの曲を演奏してどんな映像が流れるかは、ほぼほぼ知っていた。なので、それを上書きしてくる新たな要素は、ないものと思っていた。しかしだ。映像は、リマスターされたのかクオリティが格段にあがり、彼らがレガシーに収まるのではなく、今の時代に呼応せんとする姿勢が伺えた。更に、ラルフ・ヒュッターが坂本龍一を永遠の友人だと語り、『戦メリ』のメロディーを弾くなど、思ってもみなかった。
ベストは、ザ・キラーズだ。このサイトでは何度か書いているが、本番の前からドラマがあった。まずは、SZAのキャンセルで空いた枠がどうなってしまうのかという、不安を補ってあまりあるブッキングからはじまった。2009年にはキラーズもキャンセルしていて、出演は2004年のレッドマーキー以来という、ストーリーもできていた。当日のステージは、ブランドンのサービス全開ぶりが気持ちよかった。
そして、『For Reasons Unknown』のときにフロアからステージにあがり、ドラムを担った青年ワタルのプレイが、プラスアルファの感動を呼んだ。後々いろいろ情報が出てきて、彼は5月にプロデビューしたアーティストであること、海外にキラーズを観に行っていることなどがわかった。また、彼はイヤモニなしで演奏していたので、序盤は少しずれていたのを、キラーズの方が彼に合わせる微調整をしていたそうだ。とにかく、彼の技術も、そして物怖じしないハートも、素晴らしかった。
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