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『zk/頭脳警察50 未来への鼓動(DVD)』を観た

公開日: : 最終更新日:2024/07/09 頭脳警察 ,

zk/頭脳警察50 未来への鼓動

結成50周年を迎えたの、ドキュメンタリー映画、『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』。コロナ禍の中2020年に公開され、当時劇場まで足を運んでいたが、昨年のの訃報を受けてDVDを購入した。

まずは本編。PANTAとTOSHIの生い立ちからはじまり、PANTAは米軍基地で働いていた父や従軍看護師として働いていた母のことを語る。ピーナッツバターとしてデビューしかけたことやTOSHIとの出会いなどを経て、頭脳警察結成。活動期間は5年程度と、意外にもそれほど長くはない。

解散後、PANTAはソロ活動、TOSHIは複数のユニットを掛け持ちし、やがて1990年に1年限定で再結成。そして21世紀は、ふたりはおのおのの活動と頭脳警察の活動を並行するようになっている。PANTAはアルバム『』でラブソングを前面に出し、ファンやメディアからの批判を浴びた。しかし、それも頭脳警察を解散した一因だったのだ(批判まではいかないまでも、なんじゃこりゃとは今聴いても思う)。PANTAは俳優としての活動もしていて、映画『いぬむこいり』の撮影シーンもあった。

2019年。ギター澤竜次、ベース宮田岳の黒猫チェルシー組、ドラム樋口素之助、キーボードおおくぼけいを迎え、50周年頭脳警察が始動。4人は90年再結成時の前後に生まれた世代だが、PANTAとTOSHIとのコンビネーションも抜群。個人的に、新譜『乱破』のレコ発ライブに足を運んでいるが、演奏力の高さにねじ伏せられた。音楽界には、時々世代を超えた幸福な結びつきが生まれることがあるが、彼らがまさにそれだった。

2020年2月に渋谷La.mamaでおこなわれたのは、PANTAとTOSHI古希祝いライヴだった。この直後にコロナ禍で世の中が一斉に自粛モードになり、今思うとまさにギリギリの絶妙なタイミングになったと思う。ここで、彼らは無観客で新曲『絶景かな』をライブレコーディングした。コロナには屈しないという、頭脳警察の決意表明のように思えた。

特典ディスクは、75分と結構なヴォリュームだ。本編の序盤に流れていた、ワイルドワンズ植田やオックス岡田とのグループサウンズ期対談の未発表分には、日劇ウエスタンカーニバルの真相が語られるなど貴重な証言がされていた(これも、長すぎたのかあるいは自粛なのか、途中でフェードアウトしている)。

2018年のPANTAのクリミア訪問は、ソロ弾き語りでのライヴを複数の会場でおこなっていた。現地の資料館を訪ねるなど、ロシアとのデリケートな関係にある地の空気感は、PANTAの魂を刺激したと思う。2003年にPANTAと共にイラクに渡航し、『パンタとレイニンの反戦放浪記』を共著した、椎名レイニンの姿もあった。

予告編やDVD発売告知の映像は、複数パターン収録されている。予告編は、「四日市編」「浜松編」など、50周年頭脳警察ツアーの模様を収めていた。特に四日市では、ドラム樋口の両親が姿を見せ、母の誕生日を祝っていた。PANTAは、頭脳警察のライヴでハッピーバースデーを歌ったのははじめてと言っていた。

映画本編を108分に収めたのは、2009年に公開された『ドキュメンタリー 頭脳警察』の反動あるいは反省もあったのかもしれない。なにせ三部作計5時間14分という、超大作になっていたからだ。ただそれでも、今回、本編に入り切らなかった映像を何かの形で出したいと考え、DVD特典にしたのだと思っている。

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