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『パンタ/頭脳警察 反骨のメッセージと叙情が交差するロック時人の軌跡』を読んだ

公開日: : 最終更新日:2024/07/07 PANTA ,

パンタ/頭脳警察 反骨のメッセージと叙情が交差するロック時人の軌跡

2023年7月7日に、73歳で亡くなったパンタ。今年1月に、ジックマガジン増刊の追悼号が発表されていた。

冒頭で、2023年9月に行われた「ライヴ葬」の模様が詳しく記されていた。鈴木慶一の弔辞の後ライヴとなり、バンドの生演奏とパンタが演奏する映像とをシンクロさせたパフォーマンスとなった。終了後にTOSHIからの挨拶があり、マネージャーによる今後のリリース予定変更などが周知された。

マネージャーによると、2020年のコロナ禍前後から、パンタの体調に異変が生じたそうだ。しかし病室が埋まっていて入院ができず、自宅療養をせざるを得なかった。仕方のないことだが、もしこの時点で適切な治療を受けられていれば、その後の経過は変わっていたかもしれないと思ってしまう。

その後は、、パンタのソロ、再結成頭脳警察およびソロ、と、活動が時間軸に沿って紹介。ディスコグラフィーは、この書籍のための完全書きおろしだそうだ。自身の作品だけでなく、曲提供やプロデュースまで網羅しているのがありがたい。

頭脳警察のパートで「わずか3年の間にアルバム6枚」という見出しがあって、そういえばそうだと思った。結成が69年で、ライヴ活動は既に精力的に行っていたが、作品に着目すると短期間に凝縮されていたのだ。この間にTOSHIの脱退をはじめとするメンバー交代劇もあり、まさに生き急いだバンドだった。

パンタが、頭脳警察では自分が全てを背負わなくてはならなず、ソロになってバンドやプロデューサーと組むようになって分担できるようになったと言っていたのが印象的だった。多くの場合、バンドが共同作業で、ソロになるとアーティストが全責任を負うと思われるところ、パンタの場合は逆になっていた。

パンタのソロでは、2004年にリリースされた『 & HAL BOX』に同梱されたブックレットの復刻に加筆修正した「PANTA & HALの時代.EXTENDED」が読み応えがあった。このボックスは所有していて、ブックレットも読んでいるはずだが、ほとんど内容を忘れており(汗)、新鮮に読ませてもらった。

『マラッカ』『1980X年』をプロデュースした鈴木慶一は、直接パンタに会うのはこのときがはじめてで、パンタを怖い人だと思っていたとのこと。しかし、ふたりはすぐに打ち解け、パンタは全幅の信頼を置いてプロデュースを任せたそうだ。HALのメンバーでは、最年少の今剛の技術が突出していたとのことだ。

パンタがスウィート路線に行ったとき、音楽評論家がミュージックマガジンに寄稿した記事は、当時かなり話題になったそうだ。パンタのマネージャーが元編集者だったつながりから、パンタ自身も何度か同誌に登場。当該の評論家との対談もあったが、ふたりとも大人のやりとりをしていた。

パンタ/頭脳警察は、大御所アーティストにしては映像作品のリリースが多い方だと思う。当時VHSでリリースし、廃盤になった作品でも、そのほとんどは後にDVD化されていて、全部ではないが多くを入手している。個人的には、ソロの『KRISTALL NAHAT PANTA-LIVE』を、ぜひともDVD化してほしいと願っている。

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