『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』を観に行ってきた
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最終更新日:2024/06/06
サディスティック・ミカ・バンド 坂本龍一, 高橋幸宏
冒頭が、「オールナイトニッポン」55周年放送のスタジオ、つまり今現在で、少し面食らった。それは、55年前の番組開始当時に流行ったフォーク・クルセダーズの『帰って来たヨッパライ』に触れていくという、導入だった。加藤は、当時大学生だった。
フォークル解散後はソロ活動に転じつつ、結婚した福井ミカをヴォーカルに据えてサディスティック・ミカ・バンドを結成。アルバムごとに作風を変化させるが、加藤とミカとの離婚により解散。先にイギリスから帰国し、ミカを待っていた加藤。しかし、ミカが帰って来ないと、悲しみに打ちひしがれていたという。
映像は、関係者によるコメントを中心に構成されている。アーティストだけてなく、レコード会社の担当や、80年代になると料理人やファッションデザイナーなど、加藤と親交があった面々が登場。加藤は、常にスタイリッシュだらんとしていたさまが伺える(海外でレコーディングをしたいと主張するが、暗にレコード会社に資金面のバックアップを募っていた、など)。
コメントを寄せていたのは、吉田拓郎、松任谷正隆、北山修、泉谷しげる、つのだ★ひろ、高中正義、高橋幸宏、小原礼、高野寛、高田漣など。エピソードとしては、安井かずみ、坂本龍一、竹内まりやなどがピックアップされていた。ミカ・バンドのオリジナルメンバーのひとり、今井裕がコメントしていたのには驚いた。クリス・トーマスが、音声だけでなく顔出しで登場したのには、もっと驚いた。
80年代前半から、いきなり2009年の自殺記事にまで飛んでしまったのには、呆然としてしまった。安井と組んだ夫婦での作詞作曲提供、映画音楽、1989年と2006年のミカ・バンド再結成など、30年近くの活動がまるまるすっ飛ばされてしまったのだ。活動の前期に比重が置かれすぎていたのは、個人的に残念だった。
ラストは、『あの素晴しい愛をもう一度』の再レコーディングだ。高野と高田がアコギで弾きならしをする際、実は技術的にとても難しいのに、さらりとやってのけている加藤に驚嘆していた。ヴォーカルは坂本美雨、ウッドベースを弾きながら歌う石川紅奈、北山、坂崎幸之助。幸宏のドラムサンプリングも、使われていたとのことだ。
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