猿の惑星・征服(1972年)
前作『新・猿の惑星』のラストでコーネリアスとジーラは人間に射殺されてしまったが、息子マイロはサーカス団長のアルマンドに保護され、シーザーと名乗っていた。1991年、細菌により犬と猫が死滅。猿がペットの筆頭格になったが、人間にとって都合のいい奴隷として扱われていた。
サーカスの告知のためにニューヨークに来ていたシーザーは、人間の猿に対する仕打ちに耐え兼ねて言葉を発してしまい、かばったアルマンドが捕獲され取り調べを受ける(その後追い込まれて投身自殺)。一方シーザーは奴隷の猿たちのリーダーとなり、武器を集めて州知事たちに対する反乱を企てる。
公民権運動の影響が色濃いらしく、当時のアメリカでの人種差別問題が投影されているようだ。知事の側近である黒人マクドナルドは、猿の扱いに黒人差別を重ね、シーザーを救う一方、武力により人間に抗戦しようとするシーザーを批判する、ニュートラルな立場を取っている。
猿の人間に対する反乱と言いつつ、知事公館や猿管理局周辺での局地的な争いにしかなってなく、惑星を語るにはスケールが小さすぎるきらいはある。ではあるが、文明批判や人間の愚かさといったメッセージを汲み取って観ていけば、奥の深い作品として楽しめるだろう。
『猿の惑星 創世紀』は、もともとのシリーズに当てはまるピースではなく、パラレルワールド的な作品と言われている。それを承知しつつも、予告編を観た限りでは、シーザーが幼年期にあることから、「新」と「征服」の間くらいに相当するのではと思っている。
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