ベック(Beck)ソロアコースティックライヴ@EX Theater 17時開演の回
2月発表で4月開催という、海外アーティストの公演としてはかなり急に決まった、今回の来日。そして、今回はバンドモードではなく、ベックひとりだけのアコースティックライヴだ。公演は17時と20時の1日2回で、前者の方に足を運んだ。
予定を15、6分ほど過ぎたところで客電が落ち、ベック登場。コンピューター?を操作して、まずはギターを持たずに『Phase』を歌い上げる。そして、セミアコを手にして『The Golden Age』へ。
ステージは、後方に縦長のライトのスタンドが10基以上設置され、前方は向かって左にピアノ。ベックの立ち位置はセンターで、向かって右後方には桜の木がセッティングされていた。ベックはグレーのスーツ姿で、長髪にしていてこれまでのビジュアルイメージと異なっている。髪質は、ふわふわに見えた。
MCも豊富で、足元に貼り付けたカンペを読みながら日本語も交えていた。この日のライヴが20回目になるとか、さくらがきれいだとか、コロナ禍のときはなかなかライヴができず、日本にも来れなかった、などを言っていたと思う。中盤では、「ニホンハフルサトデス」とも(笑)。
ベックは、メジャーからは『Mutations』『Sea Change』『Morning Phase』とアコースティックアルバムをリリースしているが、今回は初期にインディーズからリリースした『One Foot In The Grave』『Stereopathetic Soul Manure』からもセレクトされていて、つまりベックのアコースティックサイドが、よりディープなレベルまで掘り下げられている。『Asshole』では、オーディエンスのリアクションも上々だった。
『Debra』のアコースティックバージョンを観るのは、はじめてだった。原曲はプリンスの『Do Me Baby』を彷彿とさせるスーパーバラードだが、ここではセミアコに乗せた小気味いいメロディーに生まれ変わっている。ピアノ弾き語りは2曲で、シャルロット・ゲンズブールに書いた曲(と言っていたと思う)と、『Waking Light』。ピアノを弾くベックを観るのも、はじめての気がする。
ニール・ヤングのカヴァー『Old Man』を経て、リクエストを募るベック。場内からはいろいろ飛び交ったが、結局『Girl』に落ち着いた。エフェクターを使ってサンプリングを流し、それに生演奏を合わせるベック。それまで、ナマではJ・マスキスくらいしか観たことのないプレイだったが、この人もこういうことをやってくると思っていた。
更に、エフェクターからリズムを駆使しての『Loser』だ。もうこの辺りだと、場内はアコースティックとは思えないテンションの高さに包まれていた。ラストは、ハーモニカとヴォーカルによる『One Foot In The Grave』で締めくくった。
アンコールなし、約1時間10分のライヴは、チケット代の高さを思えば少し物足りないと思わなくもない。がしかし、フジロックやサマソニでヘッドライナーをこなす今のベックを、ライヴハウスクラスのキャパシティで観られるのはやはり贅沢だし、ベックにとって重要な要素のひとつであるアコースティックサイドを存分に堪能できたのは、貴重かつ得難い時間だったと思っている。
終演後のアナウンスで、20時開演の公演ではセットリストを変えるとの発表があった。
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