コクリコ坂から(2011年)
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最終更新日:2024/03/18
ジブリ
コクリコ荘を切り盛りする松崎海が通う高校では、文化部棟「カルチェラタン」の老朽化による取り壊しが取り沙汰されていた。校内新聞を発行し、取り壊し反対を訴える風間俊と知り合った海は、カルチェラタンの掃除を提案。やがて、大勢の生徒を巻き込んでの大掃除に発展する。
コクリコ荘に下宿している女医の北斗の送迎パーティーで、亡くなった海の父が友人と一緒に写っている写真を見た俊。俊も同じ写真を持っていて、戸籍を調べた結果、海と俊は兄妹にあたることがわかる。ふたりは互いに恋心を抱いていたが、俊は海に友達のままでいようと伝える。
漫画の原作をもとに、スタジオジブリが長編アニメとして映画化。宮崎駿は共同脚本として名を連ね、監督は息子の宮崎吾朗が務めている。音楽も、久石譲ではなく武部聡志だ。
海と俊の出生にかかる秘密こそミステリアスではあれど、基本は日常の中の出来事を描いている。劇中、坂本九の『上を向いて歩こう』が何度か流れ、海の父は朝鮮戦争で戦死していることなどから、時代は1960年代前半頃と思われる。
高校生たちは、太平洋戦争末期から終戦直後あたりに生まれたと想定できる。当然ながら今ほど便利でも豊かでもないはずだが、彼らからは溢れ出んばかりのエネルギーが感じられる。
キャスティングは超豪華だ。主人公の海が長澤まさみで、以前『デトロイト・メタル・シティ』のヒロイン役で声優をしていたのを観たことがある。俊は岡田准一、俊の友人で生徒会長の水沼は風間俊介と、ジャニーズ出自組。海の祖母が竹下景子、母が風吹ジュン。海の妹の空はオーディションで選ばれた白石晴香で、彼女は後に『ゴールデンカムイ』でアシㇼパ役を務めている。
北斗は石田ゆり子、コクリコ荘に下宿する美大生の幸子は柊瑠美、海の学友の悠子は手嶌葵。つまり、『もののけ姫』のサンと『千と千尋の神隠し』の千尋と『ゲド戦記』のテルーで、歴代ジブリ作品の主演格を揃えている。本作は女性キャラが多いが、その利点を最大限に活かしたキャスティングだと思う。
俊の養父が大森南朋、海と俊が持つ写真に写っていた、海たちの父の友人が内藤剛志、カルチェラタンの存続を即決した理事長が香川照之と、大人の男性陣も見劣りしない。俳優を声優に起用するのはジブリ作品では珍しくはないが、ここまで徹底していると逆に爽快だ。
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