『YUKIHIRO TAKAHASHI LIVE 2018 SARAVAH SARAVAH!』を観た
高橋幸宏が、2018年に一夜限りで実施したライヴ、『YUKIHIRO TAKAHASHI LIVE 2018 SARAVAH SARAVAH!』。DVD化もされているが、109シネマプレミアム新宿で期間限定で上映されていて、先日観に行って来た。
まずは、スマートフォンで撮影された、軽井沢での幸宏の映像が数分流れる。飼っている犬と戯れたり散歩したりと、リラックスした表情が伺える。
そして本編。2018年11月24日の東京国際フォーラムで、メンバーは、幸宏(78年時は高橋ユキヒロ名義)、ギター佐橋、ベース有賀、ドラム林立夫、ユーフォニアムほかのゴンドウトモヒコ、サックス矢口、パーカッション、キーボード2名、コーラス3名と、大所帯バンドだ。
序曲的な『FOR FRANCIS』を経て、幸宏がアルバム再レコーディングのいきさつやこの日のライヴの位置づけを話す。『Saravah!』は、幸宏のソロファーストとして1978年にリリース。リリース40周年にあたる2018年にヴォーカルパートを再レコーディングし、ミックスダウンとマスタリングを施したのが『Saravah Saravah!』だ。
幸宏は、多くの曲でステージ前方で椅子に腰掛けながら歌った。2曲か3曲では、ギターも弾いていた。カメラアングルはめまぐるしくスイッチングされ、バンドメンバーも極力ピックアップするようにされていた。佐橋のギターや矢口のサックスなどには、ソロパートがあった。
セットリストは、『Saravah Saravah!』全曲を曲順もそのままに演奏。幸宏は10代で映画『男と女』を18回観て、このアルバムはその世界観がテーマになっているとのこと。アナログのA面部ではフランス風の空気感が漂い、バックドロップの映像もそれにリンクしていた。
B面部に入る前に、坂本龍一のコメント映像が流れた。ニューヨークの自宅で撮影したと思われ、洋書がぎっしり詰まった本棚をバックに、レコーディングに参加した当時のことや、今回のライヴのことなどについて語っていた。当時はコンピューターを使わず人力でやっていて、今はもうそのときのようなプレイはできないとも。
続いて始まった『ELASTIC DUMMY』は、個人的に最も引き込まれた瞬間だった。幸宏はドラムセットに収まってプレイし、つまり林とのツインドラム状態に。演奏はアルバム原曲よりもはるかに緊張感があり、とことんまで突き詰めていくような凄まじさが感じられた。
アルバムラストの『PRESENT』では、細野晴臣をゲストとして招き入れた。ツインベース状態で、ライヴでギターが二重三重になるのはままあることだが、ベースとなるとキング・クリムゾンくらいしか思い浮かばない。それを、ここでやるんだと思った。
アンコールは2度に渡り、『四月の魚』をはじめ、これまでライヴでは演奏してこなかった曲を披露。セカンドアンコールでは再び細野を招き、『SARAVAH!』を別アレンジで演奏。細野は、セミアコでの参加だった。
中盤での坂本のコメント、そして幸宏のパフォーマンスを観ると、ふたりとももうこの世にいないことが信じられない。単に休んでいるだけで、近いうちにひょっこり出て来てアルバムやツアーを発表してくれるような気がしてしまう。この映像は、それほどまでに生々しかったのだ。
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