サイボーグ009超銀河伝説(1980年)
宇宙に渦巻く強大なエネルギー、ボルテックス。悪の帝王ゾアは、宇宙で侵略行為を繰り返しつつ、ボルテックスの制御を目論んでいた。発見者であるコマダー星のコルビン博士と地球のコズモ博士、そして001は、ゾアの部下に拉致される。
ギルモア博士に招集された00ナンバーたちは、彼らの救出とゾアの野望を阻止するため、コルビン博士の息子サバと共に宇宙へと飛び立つ。途中、ゾアに侵略されていた惑星ファンタリオンに立ち寄った一行は、囚われていた王女タマラを救い出す。
石ノ森章太郎原作のマンガ『サイボーグ009』は、何度かアニメ化されている。本作は、アニメ第2作のテレビシリーズ終了後に劇場公開された作品だ。時期は1980年冬で、当時は『宇宙戦艦ヤマト』がシリーズ化される中、『地球へ・・・』と共にSFアニメ映画ブームにひと役買っていたものと思われる。
ファンタリオン星にたどり着く直前のスターゲイトを通過するシーンや、敵の要塞での戦いなどには、目を見張るものがある。がしかし、クライマックスのボルテックスでのゾアと009の攻防がほとんど描かれず、戦いを終えた009による回想録のようになってしまっているのがなんとももったいない。序盤の001拉致も、もっとインパクトを出せるところなのに比較的さらっと描かれている。004の最期を際立たせるための、配分だったのだろうか。
声優陣は、009島村ジョーは井上和彦にとっての代表作だろう(近年は『鬼滅の刃』の継国縁壱役で気を吐いている)。003フランソワーズは、ハイジ役もやっていた杉山佳寿子。005ジェロニモの田中崇は、現在は銀河万丈として『装甲騎兵ボトムズ』のロッチナなどをこなしている。
002ジェット・リンクは、『グレートマジンガー』の主人公剣鉄也を演じた野田圭一。007グレート・ブリテンは、初代スネ夫役も演じた肝付兼太。006張々湖は、俳優としても活動していたはせさん治。001と008、ギルモア博士は、テレビ版から替わっているが、違和感はない。
コズモ博士は永井一郎、サバは初代のび太の小原乃梨子、タマラは鈴木弘子と、ゲスト役も豪華だ。
004アルベルト・ハインリヒは、本作だけでなくシリーズを通してのキーマンだ。かつて亡命がバレて襲撃され、恋人は絶命、自身はかろうじて生き延びたが全身兵器のサイボーグにさせられ、人間としてのアイデンティティを自問自答している。山田俊司という人が演じているが、現在はキートン山田として活動。『ちびまる子ちゃん』の、初代ナレーターの人だ。
音楽は、今やドラクエの人というイメージが強い、すぎやまこういち。主題歌の作曲者に森田公一とあり、もしやと思い調べてみたら、グループサウンズ出身のひとだった。歌っている町田義人もグループサウンズ出身で、映画『野生の証明』で主題歌『戦士の休息』を歌っていた。
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