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アクアマン/失われた王国(ネタバレあり)

アクアマン/失われた王国

海底王国アトランティスの王となった、アクアマンことアーサー・カリー。海中では悪と戦いつつ、陸地ではメラとの間に生まれた息子の育児を楽しんでいた。父をアーサーに殺された海賊のケインは、氷河の中を探検するうちに古代兵器ブラック・トライデントを発見する。

5ヶ月後、各地で気候変動が多発。ケイン一味が世界各地に封印されたオリハルクムを採取しては溶鉱炉で溶かし、気温を上昇させていた。ブラック・トライデントに太刀打ちできないアーサーは、かつて自ら封じ込めた弟のオームを脱獄させ、ケインの居所を突き止めるため協力させる。

アクアマン』としては2作目で、DCエクステンデッド・ユニバースとしては13作目にして最終作となる。経営陣の度重なる交代や、シリーズの興行成績が期待したほどに伸びないことなどが要因で、作品そのものを楽しむ以前にこうした作り手側の事情が聞こえてきてしまうのは、なんともやりきれない。

本作は、シリーズ自体を締めくくるというよりは、アクアマンとしての区切りだと思っている。

かつては弟を倒したが、その後解放して協力させるというプロットは、・シネマティック・ユニバースのソーとロキの関係を思い起こさせる。本作では、脱獄直後のオームは当然アーサーに反発するが、呉越同舟でいやでも協力せざるをえない状態に。決戦の直前にはふたりは母アトランナに諭され、距離感は少しずつ縮まっていく。

それらが、クライマックスでのアーサー、メラ、メラの父ネレウス王、アトランナ、そしてオームと、一家一族が総力を結集して立ち向かうさまにつながっていく。オームの復帰を認めたくなかったネレウス王が、自分の危機を助けられたことによって彼を認めるくだりもある。これらは、いずれも感動的だ。

一方のケイン/ブラックマンタは、父を殺されたことに対するアーサーへの復讐心は、完全な逆恨みだ。ブラック・トライデントを生んだコーダックス王の強大な力を復活させるため、アーサーや息子の血を狙う。完全なる悪だが、ケインに協力させられつつアーサーたちに位置信号を送るシン博士が、かろうじて良心的な存在になっている。

キャストは、アーサーのジェイソン・モモア、オームのパトリック・ウィルソン、メラのアンバー・ハード、アトランナの、ネレウス王のドルフ・ラングレン、ケインのヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世といった主要キャラは、前作から続投している。

ジェイソン・モモアは『ワイルド・スピード』シリーズにも参加するようになり、見た目ともどもキャラが立つようになってきた。プライベートでと訴訟していたアンバー・ハードは、出番を最小限にされることなく通常に出演している。

ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世は、ラスボスとして前作から更に出番が増え、顔に力が出るようになった。調べたら、『マトリックス レザレクションズ』でモーフィアス役をこなしていた。パトリック・ウィルソンは、本作の監督でもあるジェームズ・ワンの監督作品の常連とのこと。もっともっと主役級を張れる人だと思う。

エンドロール後にはポストクレジットもなく、すんなりと終了。変に期待を抱かせず、シリーズ終了を明示しているようだった。

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