ベック、ボガート&アピス(Beck, Bogert & Appice)『Live In Japan 1973/Live In London 1974』
ジェフ・ベックは、ベースのティム・ボガート、ドラムのカーマイン・アピスとのトリオ編成で、73年に来日。大阪の公演が、『Live In Japan』としてリリースされている。今年、発売50周年にリンクさせてか、未発表音源を加えた4枚組のボックスとなって再発された。
ディスク1および2は、1973年5月に行われた大阪公演の音源をリマスター収録。音圧がやや弱い気はするが、聴いていて臨場感は伝わってくる。セットリストは、このトリオでリリースしたアルバムからの曲を軸にしつつ、ジェフ・ベックのキャリアからやカヴァー曲などが演奏されている。
『Jeff's Boogie』では、ヤードバーズの『Over Under Sideway's Down』をはじめいくつかの曲のリフを入れまくっている。『Going Down』『Morning Dew』はジェフ・ベック・グループでも演奏しているほか、ジミー・ホールを迎えた2017年のジェフ・ベック来日公演でも演奏されている。後者は、ここでは14分オーバーの大作になっていて、前半こそジェフとティムの掛け合いが見られたものの、後半はカーマインのドラムソロの独壇場になっていた。
ディスク3と4は、1974年1月のロンドンはレインボーシアター公演を収録。この公演はイギリスでテレビ放送され、音源はブートレッグとして出回っていたとのこと。このボックスにて、晴れて正式リリースされた。セットリストは大阪からかなり変更になっているのがありがたく、そして演奏の完成度はこちらの方が高い。
圧巻だったのは、インストの『Solid Lifter』、そして『Jizz Whizz』だ。ふたりとのコンビネーションやバトルももちろんあるが、牽引しているのはジェフのプレイだと感じた。終盤の『You Shook Me』は、第1期ジェフ・ベック・グループやレッド・ツェッペリンのファーストにも収録されている曲だ。ヴォーカルはトーキング・モジュレーターを使って歌っているが、アルバムのクレジットからするに、ジェフ・ベックが担っていたと思われる。
ブックレットには、当時の3人のステージパフォーマンスや宣材と思われる写真が満載。また、日本盤では当時配布もしくは販売されたであろう冊子が入っていて、星加ルミ子や石坂敬二らによる解説を読むことができる。
レインボーシアター公演の時期、3人はセカンドアルバムのレコーディングをしていたそうだ。アルバムは完成することなくトリオは解散してしまったが、今回、まさに幻の音源が日の目を見たことになる。ジェフ・ベックはこのボックスの編集に取り組んでいて、残念ながら生きているうちにリリースはされなかった。アルバムジャケットには、「Dedicated to the memories of Jeff Beck(1944-2023) & Tim Bogert(1944-2021)」と記されている。
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