浜田省吾『ON THE ROAD 2022 Welcome Back to The Rock Show “EVE”(ブルーレイ)』
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CD・DVD・映像
浜田省吾が、2022年秋から2023年1月にかけておこなったツアーより、NHKホールの公演がブルーレイやDVDでリリースされている。個人的には12月のパシフィコ横浜公演に足を運んでいて、その追体験として映像を観た。
この人のNHKホールでのライヴは何度か映像化され、それらを観てきている。が、今回はより一層、ステージ上での浜田やバンドメンバーを捉えたショットが臨場感に溢れていた。スイッチングによってカメラアングルは頻繁に切り替わり、ステージ袖から、天井から、客席のアングルからなど、さまざまな角度から演奏シーンを観ることができた。
バックドロップには、ステージを映すほか、曲によりそのコンセプトに合った映像が流される。このディスクでは、後者の映像をフレームからはずし、バンドメンバーに被せるような加工がされることがあった。その場にいたのでは、体感しえないビジュアルだ。
70歳を迎えた浜田は、髪は薄紫がかった銀髪になり、細身の身体からは以前と変わらずエネルギーが満ち溢れている。町支、古村、長田をはじめとするバンドメンバーはここ数年固定されていて、磐石の演奏で浜田をバックアップ。彼らには、曲によりソロでの見せ場が与えられている。
『君の名を呼ぶ』では、浜田はギターを持たずヴォーカルに徹し、アコギを町支が担っていた。以前のツアーでは浜田が弾き語りをしていたこともあったし、何よりこの曲のMVでもそうなっているので、フルバンドでのスタイルは新鮮だった。
個人的に大好きな曲『モノクロームの虹』で第1部を締め、第2部は聴かせるモードでスタート。『星の指輪』をライヴで観られるのは、結構貴重な気がする。『ON THE ROAD』以降のアッパーモードは無双状態で、そして『家路』ではロシアのウクライナ侵攻についても触れ、侵攻前のウクライナと、東日本大震災前の東北の映像を流していた。
アンコールは2度に渡ったが、ファーストアンコールの3曲中2曲は、個人的にライヴの場が初見だった。『みちくさ』はミニアルバム『In the Fairlife』収録、『この新しい朝に』はこの時点での最新シングルと、後になって知った。つまり、これが浜田省吾の現在位置であることを示しているのだと思う。
特典映像は、ライヴのトークだけを集約したものと、1部と2部の間のインターバル中に流れていた40年間の「ON THE ROAD」を集約したダイジェストだ。前者には美術館に65歳以上半額を適用したエピソードが含まれていて、横浜公演のときも話していた。
もっと若い頃の映像が観たいと思わないわけでもないが、以前のものは流通に足るクオリティではないのかもしれないし、そもそも撮影自体していなかったのかもしれない(『渚園』のライヴを劇場公開してくれたという尽力は、強く強く感じている)。その代わりなのか、21世紀以降はコンスタントに映像作品をリリースしていて、その豊富さはローリング・ストーンズに匹敵する。そしてその姿勢は、これからも続くはずだ。
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