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ナイル殺人事件(1978年)

ナイル殺人事件(1978年)

巨額の遺産相続人となったリネットは、友人ジャクリーンから、彼女の婚約者サイモンが生活に困窮しているとの相談を受ける。リネットはサイモンに会うが、意気投合したふたりは直後に結婚を発表してしまう。ふたりはエジプトに新婚旅行に行くが、先々にジャクリーンが現れては、暴言を吐くなどの嫌がらせをする。

ふたりとその関係者は、豪華客船に乗って旅行を続ける。夜、リネットは早めに自室に戻るが、翌朝メイドのルイーズがリネットが殺されているのを発見。最も疑わしいジャクリーンは、前夜にサイモンと口論して彼の足を撃ち、錯乱して看病を受けていた。客船に乗り合わせていたエルキュール・ポアロは、乗客全員から事情を聴取。全員に、リネットを手にかけておかしくない動機があった。

2017年からは監督・主演でポアロ作品が制作・公開されていて、『ナイル殺人事件』も2022年に公開されている。個人的に原作は未読だが、両作品を比較しながら観て楽しんだ。ピラミッドにサイモンとリネットが登っていて、現在ならまず許可が降りないだろうが、当時は可能だったのだろう。

本作ではリネットとジャクリーンが序盤で友人として親しくする描写があり、リネットがサイモンを略奪したことがより明確になっている。また、ポアロは招待客ではなく、友人のレイス大佐に声をかけられていて乗船している。乗客のうち、このふたりだけがニュートラルな立場にある。

キャストは、ポアロをピーター・ユスティノフ。テレビ映画を含め、計6本の作品でポアロ役を務めているそうだ。ルイスをデヴィッド・ニーヴン(1966年版『007 カジノ・ロワイヤル』のジェームズ・ボンド)、リネットをロイス・チャイルズ(『007 ムーンレイカー』のボンドガール)と、『007』との縁があるのは意外だった。

ジャクリーンをミア・ファロー、ルイーズをジェーン・バーキン、ほかの乗客の面々も『ハリー・ポッター』シリーズの副校長役のマギー・スミス、の『復活の日』に出演していたオリビア・ハッセー、同じく角川作品『人間の証明』に出演していたジョージ・ケネディなど、結構豪華だ。

ポアロが聴取をとる際、相手を犯人と仮定して追い詰め、証言させるやり方は、一見強引で、観ていてあまり気持ちのいいものではない。ポアロは確かに名探偵だが、何もかも正しくクリーンな人物にとどめていないように受け取れる。

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