*

風の谷のナウシカ(映画版・1984年)

公開日: : 最終更新日:2023/07/07 ジブリ

風の谷のナウシカ(映画版)

最終戦争「火の七日間」により、文明は崩壊。それから1000年後、地球上は砂漠に覆われ、腐海と呼ばれる毒ガスを発する森が拡大し、巨大な蟲が繁殖。わずかに生き残った人類は、恐怖に怯えながら細々と暮らしていた。

あるとき、小国「風の谷」に大型船が墜落。船内には、「火の七日間」で世界を焼き尽くしたという、巨神兵の胚が積まれていた。トルメキアの皇女クシャナは、巨神兵を復活させて腐海を焼き払うことを目論んでいた。谷はトルメキアの支配下に置かれることになり、族長の娘ナウシカは、民の安全のために捕虜となる。

宮崎駿監督、高畑勲プロデューサーのコンビで制作・公開された長編アニメ映画で、宮崎はアニメ雑誌『アニメージュ』に原作となるマンガを執筆していた(ネットでは、マンガが先で後に映画化が決まった、映画が先で売れるためには原作が必要と言われてマンガを書いた、と、諸説ある)。

学校が春休みの時期に公開され、当時でもかなり話題になっていた記憶がある。その後テレビで何度も放送され、後に設立されたスタジオジブリの作品の源流に位置することから、作品の価値は薄れるどころかますます高まっている。

宮崎駿は、『ルパン三世 カリオストロの城』や『未来少年コナン』を経て本作を世に出しているので、それらを関連させた見方もある。『カリオストロの城』にはクラリスという美少女ヒロインがいて、ナウシカはその進化した姿であり、完成形とも思える。声優は、どちらも島本須美だ。

ナウシカと、何もかも対照的なのがクシャナだ。ふたりが属する国の規模が異なれば、農耕に勤しむ風の谷と軍事力にものを言わせるトルメキアと、バックボーンからして大きく異なる。天真爛漫なキャラクターで周囲を温かくするナウシカと、武力による進行を指揮し左腕を蟲に奪われているクシャナ。

ふたりに共通しているのは、やり方は違えど民を引っ張るリーダーシップを備えていることだ。クシャナの声優は、榊原良子。クールな女性キャラを演じる筆頭格の人だが、この役もこの人の代表作のひとつではないだろうか。

原作は単行本で7巻まであるが、映画では2巻の途中までになっていて、映画の方が国の数やキャラクターの数が少ないなどの差異もある。映画は時間の制約があるので、世界観をよりシンプルにしたのかもしれない(完結は原作の方が後)。ぜひ続編・完結までアニメ化してほしいところだが、宮崎駿は続編を作るのを望まない人のように思えるので、望み薄かな。

関連記事

崖の上のポニョ(2008年)

海中の家を出て海岸にたどり着いた、魚の女の子ポニョ。空き瓶に体が挟まっていたのを保育園児の宗

記事を読む

天空の城ラピュタ(1986年)

少女シータは、ムスカ大佐率いる政府特殊部隊の飛行船に囚われていた。そこへ女海賊ドーラ一家が襲

記事を読む

となりのトトロ(1988年)

昭和30年代の日本。サツキとメイは、父に連れられ入院中の母の近くの農村に引っ越してくる。引っ

記事を読む

魔女の宅急便(1989年)

魔女の血を受け継ぐ少女キキは、13歳になると別の街で修行しなければならないというしきたりに従

記事を読む

ジブリの大博覧会

ジブリの大博覧会

六本木ヒルズで開催されている、『ジブリの大博覧会』を観に行ってきた。親子連れ中心だが、海外の

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑