宇宙海賊キャプテン・ハーロック(テレビ版)
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キャプテン・ハーロック
堕落した人類の住む、未来の地球。あるとき、巨大な黒い球体が宇宙から飛来。表面にある模様のような文字は、マゾーンという異星人が地球の所有を誇示する声明文だった。台場博士とクスコ教授はマゾーンの存在を政府に訴えるが相手にされず、やがてマゾーンに暗殺されてしまう。台場博士の息子台場正は、地球に見切りをつけてキャプテン・ハーロックのアルカディア号に乗り込む。
松本零士原作のアニメ化だが、原作は物語が完結していない。テレビアニメ版は、原作にはないエピソードを追加しつつ、全42話で放送された。マゾーンはほとんどが女性であり、植物を起源とする人体構造になっている。銃弾などを受けた際は、紙のように燃えて絶命する。かなり特異な設定だ。
序盤は地味な回が続くが、中盤からいろいろと話が広がってくる。アルカディア号のクルーの過去がクローズアップされ、彼らが宇宙の海賊としてハーロックと志を同じくするに至った経緯が明らかになる。マゾーンの方も、軍人と一般人、好戦派と穏健派の対立があり、単なる地球を侵略する宇宙人にとどまっていない。
原作には登場しない重要キャラがいて、ハーロックの親友の子「まゆ」だ。彼女が地球にいることが、ハーロックが地球を守る動機づけになっている。その親友とは大山トチローで、アルカディア号の建造者でもあり、死してはいるがその精神はアルカディア号のメインコンピューターとして生き続けている。ハーロックの回想という形で、トチローとハーロックとの出会い、更にはエメラーダとの出会いが描かれる。エメラーダがエメラルダスではないのは、版権の問題だそうだ。
今となっては、ハーロックとなると本作よりも後に上映された『銀河鉄道999』『さよなら銀河鉄道999』『わが青春のアルカディア』の方のイメージが強い。それだけに、久々に観ると結構新鮮。地球の首相など観ていて不愉快でしかないが、立場上前半ではハーロックと敵対していた切田長官が、マゾーンの存在を認めてからは共闘するなど、サブキャラの描写も興味深い。
キャストは、ハーロックに井上真樹夫、台場正を神谷明、ミーメを小原乃梨子。井上真樹夫の代表作は、一般的には『ルパン三世』の石川五ェ門かもしれないが、個人的にはハーロックを推す。海賊イコールヤバい連中というイメージは、ハーロックひとりの存在で変わってしまったと思うし、それはこの人のきりっとした声質があればこそだ。
神谷明は、既に『ゲッターロボ』の流竜馬や『勇者ライディーン』のひびき洸など主役格だったが、本作ではどちらかといえば視聴者目線でハーロックや地球を見るスタンスの役柄を演じている。小原乃梨子は、本作の同年に『未来少年コナン』のコナンを、前年に『ヤッターマン』のドロンジョを、翌年に『ドラえもん』ののび太を演じている。
切田長官が柴田秀勝、マゾーンの女王ラフレシアが北浜晴子で、このふたりは『マジンガーZ』のあしゅら男爵の男女役だった。
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