無敵超人ザンボット3
宇宙人ガイゾックのロボット、「メカブースト」の襲撃を受けた地球。立ち向かったのは、かつてガイゾックに母星を滅ぼされ、地球に移住してきたビアル星人の子孫たちである神ファミリーだった。ファミリーは先祖が遺した要塞キングビアルを復活させ、3台のメカが合体するロボットのザンボット3で、メカブーストを迎え撃つ。
1977年から1978年にかけて、全23話でテレビ放送されたロボットアニメになる。制作が日本サンライズ(現サンライズ)であること、総監督が富野喜幸、キャラクターデザインが安彦良和であることなどから、『機動戦士ガンダム』のルーツ的作品と見る向きもある。
敵は、宇宙人で侵略者であるガイゾックだ。がしかし、地球人はやがてガイゾックよりも神ファミリーを恐れるようになり、ファミリーは地球を守るために戦っているにも関わらず、お前たちがいなければ地球は攻撃されないと責められてしまう。単なる勧善懲悪には収まらない、複雑な世界観になっている。
物語には、大きくふたつのピークがある。ひとつめは、中盤でガイゾックが人間を誘拐して体内に爆弾を埋め込み爆死させるという、人間爆弾。爆弾を仕掛けられたことが自覚できている人たちは、周囲に被害が及ぶのを避けるために、集団で移動し最期を迎える。それを防ぐこともできない、ファミリーたち。一般市民だけでなく、主人公神勝平の友人のひとりまでもが、キングビアルの中で爆死してしまう。今ならコンプライアンス的にアウトな表現が、容赦なくされている。
もうひとつは、最終3話に渡って繰り広げられるガイゾックとの最終決戦だ。神ファミリーの面々が、次々にガイゾックの要塞バンドックに特攻をかけて戦死してしまう。ザンボット3も最終話でボロボロになってしまい、神江宇宙太と神北恵子はザンボエースを切り離してバンドックに体当たりし死亡。勝平はふたりの犠牲によってできた突破口からバンドック内部に侵入し、ガイゾックの正体を目の当たりにする。ガイゾックの存在理由と目的を聞かされ、反論できない勝平。ガイゾックと地球人の善悪が逆転しかねないメッセージを突きつけられる。
ワタシの住んでいた地域では、本作は放送されていなかった。なので、大人になってから内容を知るようになり、そして先日Youtubeで数年ぶりに観た。今までは最終決戦の方に衝撃を受けていたが、今回の見直しでは人間爆弾の方がより衝撃的だった。最終決戦は『さらば宇宙戦艦ヤマト』『伝説巨神イデオン』発動編のプロトタイプ的位置づけに思えるが、人間爆弾の方は類似を見つけるのが難しいと思う。