岸辺露伴 ルーヴルへ行く(少しネタバレ)
人気マンガ家の岸辺露伴は、リアリティを求めて取材するうちに真っ黒な絵の存在を知り、オークションで入手。競り合いした男たちに絵を奪われてしまうが、なぜか絵は放置されていて取り戻すことができた。そうした中で、露伴の中にある記憶がよみがえってきた。
マンガ家になりたての頃の露伴は、作画に集中するため祖母の屋敷に下宿していた。同じく下宿していた奈々瀬という女性から、「最も黒く、最も邪悪な絵」の存在を聞かされる。彼女はやがて姿を消してしまったが、その黒い絵はルーヴル美術館にあると言っていた。露伴は編集部の泉京香を伴い、パリへ向かう。
『ジョジョの奇妙な冒険 第4部』のキャラクター岸辺露伴を主人公とする原作がシリーズ化されていて、これまでにもテレビドラマとしていくつか放送されていた。実写化するため、露伴宅が杜王町でないことや、単発キャラの泉京香がレギュラーになるなど、いくつかの調整はあるが、原作のテイストを損なわないまま見ごたえのあるミステリーに仕上がっている。そして、今回の映画化だ。
舞台として圧巻なのは、ルーヴル美術館での撮影が許されたことだ。個人的にも一度行ったことがあるので、モナリザの前があんなにすいているはずがないだろうとか、順路的にはサモトラケのニケの方がモナリザよりも先なのに、というツッコミを心の中で入れつつ、それでもやはり撮影が実現できたのは快挙だと思っている。2日間貸し切って、撮影したとのことだ。凱旋門も、シャンゼリゼ通りも、日本映画で観られるとは。
ストーリーも、なかなかうまくできている。現代から露伴の記憶で過去へと場面が変わり、そしてルーヴルが舞台。真相が明らかになって終了かと思いきや、黒い絵を書いた山村仁左右衛門と奈々瀬の正体がわかり、悲しい運命が明らかになる。劇中で露伴は何度かヘヴンズドアを起動させるが、それは決してクライマックスになっていない。
キャストは、露伴の高橋一生、泉京香の飯豊まりえはテレビ版から不動。泉を雑に扱うことが少なくない露伴だが、それをなんら気にしていない泉は実は懐が深いと思っていて、ふたりのつかず離れずの関係性は本作でも健在だ。高橋は仁左右衛門との二役で、こちらは鬼気迫る演技で終盤を引き締めてくれる。奈々瀬は木村文乃、鑑定士は安藤正信、そしてマンガ家になりたての頃の露伴はなにわ男子の長尾謙杜だった。
個人的に劇場で観る作品のほとんどが洋画で、邦画の実写は久々に観たが、かなり楽しめた。
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