ライド(Ride)Going Blank Again anniversary show@Liquidroom
1992年にリリースされた、ライドのセカンドアルバム『Going Blank Again』。昨年リリース30周年を迎え、今年来日公演でアニヴァーサリーライヴが実現。昨夜の『Nowhere』全曲ライヴと合わせ、日本のファンにとっては願ってもないことが2日続けて起こっている。
予定を5分ほど過ぎたところで客電が落ち、SEが流れる中4人が登場。『Leave Them All Behind』で『Going Blank Again』全曲演奏がスタートだ。マーク・ガードナーとロズ・コルバートがTシャツ姿、スティーヴ・ケラルトはロンTを袖まくり、アンディ・ベルは5、6色のラガーシャツ?姿だった。
昨日の公演はほぼ正面で観ていたが、今回は左前方にポジションを変えた。よってステージに少し近くなり、特にアンディ・ベルがよく見えた。昨日はマークと重なってプレイぶりがあまり見えなかったロスだが、明らかに原曲よりも手数が多く、ビートも重かった。ふたりのギタリストに対抗しうるには、そこまでやる必要があった。
スティーヴは長身のアンディ、恰幅のいいマークの横では小柄が一層目立つが、しかしベースのリフは存在感があり、ドラムと同様リズムキープにはとどまっていなかった(開場時間より前に現地に到着したのだが、スタッフふたりと共にふらっと現れて、バンに乗って行ったのを見かけた)。
昨夜はほとんどの曲を原曲と違わない尺で演奏していたが、この日はマークもアンディもギターを弾きまくり、長尺に渡ることも少なくなかった。マークはよくわからなかったが、アンディはエフェクターをかなり駆使していて、2本のギターの使い分けだけでは出しきれないはずの音を発しているのもなるほどと思った。
この日のアンディはシューゲイザースタイルが少なく、結構動いていた。ソロのときに後方のスペースまで下がったり、リズムに乗って上体を小刻みに揺らしたりしていた。ああ、なんでこの人はオアシスではベースだったのだろう。ノエルとのツインリードが実現すれば、オアシスの音楽性はもっともっと広がったかもしれないのに(でも、ノエルが自分よりもギターで目立つことを許さないか。。)。
ライティングの演出は昨夜に増していて、赤いレーザービームは中盤から頻繁に使われた。サンプリングは誰がコントロールしているのか見極めようとしたが、たぶん4人の誰もやっていなかったように見えた。なので、
音響スタッフの仕事だったのではと推測する。
アルバムラストの『OX4』が終わったが、メンバーがステージを後にする気配がなく、続いて始まったのがまさかの『Grasshopper』だった。10分オーバーの大作にしてインストという、まるでモグワイのような音楽性だが、これぞギターバンド、これぞシューゲイザーという技量を存分に発揮できる曲でもあり、ライヴの場では一層映えてくる曲だ。個人的に何度かライヴを体験させてもらっているが、この曲を体感するのは恐らく今回がはじめてだ。
アンコールは昨日と同じく『Lannoy Point』で始まり、『Kill Switch』から新曲『Monaco』と、再結成以降の曲が続いた。90年代からの成熟が伺え、再結成が限定的にならず継続されていることを堂々と肯定できる音楽性だ。そして必殺の『Vapour Trail』となり、ここでライヴは終了するものと思った。ところが、ここへ来ての『Chelsea Girl』で、場内の歓声のヴォリュームが更に一段あがった。マークのギターがトラブったらしく、交換しながら歌い続けていた。
セットリスト
Leave Them All Behind
Twisterella
Not Fazed
Chrome Waves
Mouse Trap
Time of Her Time
Cool Your Boots
Making Judy Smile
Time Machine
OX4
Grasshopper
アンコール
Lannoy Point
Kill Switch
Monaco
Taste
Vapour Trail
Chelsea Girl
昨年から今年の来日前までのツアーをネットで調べたが、『Nowhere』全曲ライヴがベースになっていて、『Going Blank Again』全曲ライヴは数回しか行われていなかった。それを東京で2日続けて観られたのだから、幸せなことこの上ない。そして、マークもアンディも新作を引っ提げてまた来るよ的なことを言ってくれたので、また一歩進んだライドを観られるのは、そう遠くはないと思う。
それにしても、『Grasshopper』は嬉しかった。
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