Cocco 25周年 ベストツアー 2023 〜其の2〜@TOKYO DOME CITY HALL
2月にスタートした、デビュー25周年ベストツアー「其の2」も、佳境に差し掛かってきた。東京ドームシティホールは、アーティストによってはドリンク代が発生することがあるが、この日はそれがなかった。恐らくは、今回はホールツアーになっているからだろう。
予定より10分近く過ぎたところでSEが始まり、少しして場内が暗転。バンドメンバーが先に持ち場につき、最後にcoccoその人が登場。なんと『強く儚い者たち』でスタートで、ツアー初日の中野サンプラザ公演とは変えてきた。そしてもっと驚いたのは、根岸のベースの音がデカかったことだ。ライヴで何度も体感している曲だが、今まで観てきた中で最もベースが目立っていた。
メンバーは向かって左から右へギター堀越、ベース根岸、ドラム椎野、キーボード渡辺シュンスケ、ギター長田。個人的に、このラインナップでCoccoのライヴを観るのが5回目になるが、これまではふたりのギタリスト中心で観ていたところ、今回は根岸とシュンスケの方に自然と視線が行った。前述の通り、この日の根岸の音はとにかく存在感が大きかった。シュンスケの鍵盤は、『焼け野が原』のアウトロをはじめ要所で光っていた。
前半はライティングがステージ後方からメンバーたちを照らすことが多く、曲によりカラーは変えられバリエーションはあったが、Coccoをはじめメンバーの表情を伺うのは難しかった。Coccoのはロングスカート姿で、白の肩パットをつけていた。髪は、ショートボブになっていた。歌と演奏は淡々と続いたが、Coccoの声の伸びと迫力の強さはもちろん今回も素晴らしかった。踊りとまではいかないが、歌いながらの身振り手振りがナチュラルに見え、いつもの独特の動きは抑え気味に見えた。
中盤の『有終の美』『BEAUTIFUL DAYS』の二連発は、中盤と言わず、これでライヴが終わってもおかしくないヴォルテージの高さだった。中野サンプラザでも、去年の「其の1」でも体験しているが、やはり圧巻だ。そしてお祭りソング『お望み通り』となり、ステージにはジャージ姿のスタッフふたり、ピンクのハッピ姿のスタッフ4人が登場して、Coccoと同じ身振りをした。このスタッフたち、Cocco、そしてシュンスケは、ハート型のサングラスをかけていた。
ツアー前半と変わったのは、セットリストの一部のほかにもうひとつあった。光る指輪のグッズを販売していて、指につけた客がライヴ開始時や曲終わり毎に点灯させていた。そして『お望み通り』のときはそれが全開モードになり、場内はカラフルに彩られた。Cocco本人も満足げだったが、その理由はこの後のMCで明らかになった。16年前の沖縄公演のときに光るグッズを作ったがぜんぜん売れず、それが今回は売れに売れたからだった。東京のお客さん買ってくれたーと喜びを隠せず、今後の定番にもしたいみたいなことを言っていた。
『Never ending journey』は、やはりラストでもおかしくない重厚な曲で、曲中に語りが入る『潮満ちぬ』から『ポロメリア』へと続くあたりは、終盤に向けて加速している感が漂ってくる。『音速パンチ』で更にギアが入り、そしてラストは『お望み通り』に並ぶお祭りソングの『クジラのステージ』だ。ハッピ姿のスタッフがステージ両端に陣取って手拍子を添え、Coccoも笑みをこぼしながら歌う。アウトロでは根岸がステージ前方に踊り出て長田と向かい合ってベースを弾き、Coccoはホイッスルを吹き、と、お祭りモードのままライヴは終了した。Coccoは中盤で純白のドレスに衣装替えしていたが、最後ではかなりクタクタになっていた。
セットリスト
1.強く儚い者たち
2.焼け野が原
3.樹海の糸
4.あなたへの月
5.ベビーベッド
6.楽園
7.もくまおう
8.有終の美
9.BEAUTIFUL DAYS
10.お望み通り
11.コスモロジー
12.Raining
13.Never ending journey
14.潮満ちぬ
15ポロメリア
16.花柄
17.音速パンチ
18.あたらしいうた
19.ウナイ
20.クジラのステージ
Coccoは、去年デビュー25周年を機にダークサイドクイーンと称し顔を出さない宣言をしていて、実際ツアー「其の1」では全身黒衣装の上にヴェールをまとい、ほとんど表情が伺えなかった。しかし、さすがにこのモードにとどまることはなく、「其の2」ではオープンで明るいモードの彼女をで堪能することができた。
光る指輪を介した客とのシンクロは、本人かなりのお気に入りになったようだ。たとえば、矢沢永吉のタオルや椎名林檎/東京事変での手旗など、定番化した例もある。Coccoのライヴに新たな要素が加わるのは大歓迎だ。
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