機動戦士ガンダムNT TVエディション
2018年に劇場公開された『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』が、全4話のテレビエディションとして放送された。個人的には、公開時に劇場まで足を運び、一度Youtubeで期間限定公開されたのも観たのに続き、今回も観た。
第1話では、行方不明のユニコーンガンダム3号機フェネクスをルオ商会のミシェルが捕獲しようとし、ヨナ・バシュタが乗るナラティブガンダムが接触(ヨナはわざとフェネクスを逃がす)。第2話ではジオン共和国の強化人間ゾルタン率いる秘密部隊が中立コロニーのサイド6に潜入し、ナラティブと交戦状態になったときにフェネクスが飛来する。
第3話は、自分が部隊ごと抹殺されるのを察知したゾルタンが暴走。ネオ・ジオングでヘリウム3備蓄基地を破壊し、コロニー落としに匹敵するダメージを地球に及ぼそうとする。そして第4話では、ヨナやミシェルがネオ・ジオングを阻止せんとし、そこへ再びフェネクスが飛来。ヨナは被弾したナラティブを離れ、フェネクスに乗り込む。
舞台は宇宙世紀0097年で、『UC』の1年後になる。序盤と終盤にはミネバが、後半にはバナージ・リンクスが登場する。ただ、0079年のコロニー落としをリタが予見し、ヨナ、ミシェルと共に避難を訴えて被害を回避し奇蹟の子供たちと言われたことが、本作の起点になる。3人がニュータイプ研究所にいた頃の描写があるほか、ダ・カール演説をはじめ過去のガンダムの場面も挿入されている。
画質のクオリティの高さは素晴らしく、モビルスーツのシャープな動きにも目を見張るものがある。リタの「鳥になりたい」ということばは繰り返され、それはフェネクスとシンクロしている。ゾルタンは単体のラスボスとしては物足りなさがあるが、ネオ・ジオングのバケモノ感が追い風になっている。
ただ、一方でミシェルが唱え続けた、サイコフレームに魂を移すことができれば、人間は肉体から解放されて死を恐れる必要がなくなるという言い分はさすがに飛躍していて、本作を幾分か陳腐にしてしまっている。フェネクスはその可能性を秘めているとは思うが、リタはもっと前のタイミングで亡くなっていて、残留思念がフェネクスによって振り撒かれているだけとも受け取れる。
連邦軍モビルスーツ部隊隊長のイアゴが、いい味を出している。前半では秘密だらけのフェネクス捕獲作戦に反発し、ヨナの経歴にも不信感を抱いていた。それが後半では、ヨナやフェネクスをバックアップするスタンスをとる。それは、彼が『逆襲のシャア』でのアクシズショックの場に居合わせ、ニュータイプ思想や特異現象に理解を持っていたからだ。『UC』のジンネマン、『ファースト』のランバ・ラルに似通った立ち位置だと思う。
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