機動戦士ガンダムZZ
グリプス戦役にてティターンズは壊滅したものの、エゥーゴも多数の死者を出した。戦艦アーガマは、修理と補給のためにサイド1のシャングリラに寄港。ジャンク屋で生計を立てているジュドー・アーシタとその仲間たちは、Zガンダムの奪取を目論むうちにアーガマに乗船することとなり、ネオ・ジオンとの戦いに身を投じる。
『機動戦士Zガンダム』テレビ版直系の続編になり、劇中の時間軸やストーリーも直結している。グリプス戦役で三つ巴の決戦から一歩引いて余力を残していたジオン残党のアクシズは、ハマーン・カーンを指導者としネオ・ジオンを名乗る。本作はネオ・ジオンとエゥーゴの戦いになり、後に「第一次ネオ・ジオン抗争」と呼ばれるようになる。
『Z』は、その後新訳版として劇場三部作が公開され、評価を得た。対して『ZZ』は、1986年から1987年にテレビ放送されたきりで、再評価を得るきっかけがないまま現在に至っている。個人的には、『ファースト』の続編として『Z』は微妙、『ZZ』は更に輪をかけて微妙という所感だった(『ファースト』が突出しすぎているのもあるが)。しかし、テレビ版全話を見直す機会があり、興味深く観させてもらった。
『ファースト』『Z』からの継承という面では、アムロ・レイもシャア・アズナブルも登場しない物足りなさは、どうしてもある。ただ、ブライト・ノアは引き続きアーガマ艦長として指揮をとり、ジュドーにニュータイプの資質を認める。『Z』のラストで精神崩壊してしまったカミーユ・ビダンは、中盤でジュドーたちと接触する機会があり、彼らをサポートする。カラバの指導者ハヤト・コバヤシが、本作で戦死したのはショックだった。
アムロにはシャアが、カミーユにはジェリド・メサが、と、主人公のライバル格のキャラクターが必ずいた。では本作だが、少し捻っている。前半ではマシュマー・セロが、中盤ではグレミー・トトが立ちはだかるが、ジュドーと深い因縁が発生するまでには至っていない。後にグレミーはニュータイプ部隊を名乗ってハマーンに反旗を翻し、マシュマーは一度は失脚するが、強化されて後半にニュータイプ部隊と対峙する。
ジュドーと最も関係性が深いのは、ハマーンだ。近くにいるときには互いに存在を感じ、ハマーンはジュドーのニュータイプとしての才能を認め、同志になれと何度も誘う(当然ジュドーは拒否)。ジュドーの描き方は、エゥーゴの支援者ウォン・リーの拳法制裁をかわすなど、カミーユとの差別化を図っているように思える。
『ZZ』の続編は『逆襲のシャア』になるが、エゥーゴはなくなりロンド・ベルに再編成されていた。『ZZ』から継続して登場するのは、ブライトとアストナージくらいか。アムロとシャアの復帰(そして決着戦)はもちろん大歓迎だが、まるで『ZZ』をリセットしたかのような世界観になっていた。
しかし『UC(ユニコーン)』では、ネェル・アーガマがお目見えし、エルピー・プルのクローンにあたるマリーダ・クルスが登場するなど、『ZZ』の継承が伺える。そして極めつけは、『Z』では傀儡扱い、『ZZ』では影武者に入れ替えられていたミネバが、主人公のひとりになっていることだ。
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