博士と彼女のセオリー(2014年)
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最終更新日:2024/05/16
エディ・レッドメイン エディ・レッドメイン, ハリー・ポッター
ケンブリッジ大学で物理学を学ぶスティーヴン・ホーキングは、同じ大学で文学を学ぶジェーンと恋愛関係になる。あるときスティーヴンは大学構内で倒れ、脳の指令が筋肉に届かなくなる筋萎縮性側索硬化症(ALS)で余命2年と診断される。スティーヴンの父は反対するが、ふたりは結婚する。
博士論文が絶賛される一方、いよいよ体の自由が効かなくなってきたスティーヴンは、電動車椅子を使うようになる。また、子供のピアノ教師として家庭に出入りするようになったジョナサンとジェーンは、互いに惹かれあう。フランスのボルドーのオペラに招待されたスティーヴンは、観劇中に危篤状態になってしまい、ジェーンは医師に死か気管切開かの選択を迫られる。
車椅子の天才と称された、スティーヴン・ホーキングの伝記映画になる。スティーヴンは2018年に76歳で亡くなっていて、つまり本作公開時は存命だった。ALSに冒されたのは生まれつきでなかったこと、気管切開の後は声が出なくなるが、パソコンを通して言語を音声として意思表示するようになったこと、ベストセラー『ホーキング、宇宙を語る』はその後に出版されたことなど、興味深いエピソードだ。
ストーリーは、博士としてのスティーヴンよりも、ジェーンとの関係性の方に重点を置いている。結局ふたりは離婚し、ジェーンはジョナサンと再婚、スティーヴンは声が出なくなってから彼を支えた看護師エレインと再婚している。しかしドロドロ感は薄く、以降も友人のような関係性にあったという描かれ方をしている。
スティーヴンはエディ・レッドメインで、なりきりぶりが尋常ではない。特に声を発することができなくなってからは、表情だけでの演技を強いられるが、スティーヴンを研究しまくったのではと思わせてくれる。ジェーンはフェリシティ・ジョーンズで、スティーヴンを愛し尽くす一方、女性としての幸せに揺れる役柄を演じている。スティーヴンの師デニスは、『ハリー・ポッター』シリーズでルーピンを演じていたデヴィッド・シューリスだ。
エディは本作で数々の賞を受賞、フェリシティはこの2年後に『インフェルノ』『ローグ・ワン』に出演し大ブレイク。本作は、ふたりにとって役者人生の分岐点的な作品になっていると思う。
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