スパルタカス(映画・1960年)
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最終更新日:2023/03/07
スタンリー・キューブリック スタンリー・キューブリック
紀元前70年代のローマ帝国。鉱山で強制労働を強いられていた奴隷の青年スパルタカスは、資質を見出だされて剣闘士の養成所に連れていかれる。女奴隷バリシアと互いに好意を持つが、彼女が売りに出された日に決起し、教官たちを殺害。ほかの剣闘士たちと共に、養成所を制圧する。
反乱軍は、帝国の支配から逃れるために南下する。ローマの元老院は奴隷の反乱軍を鎮圧しようと兵を向けるが、ことごとく失敗してしまう。元老院の実力者クラッススは、強大な権力を要求する代わりに、反乱軍討伐を引き受ける。クラッススは大軍を集結させ、スパルタカスの軍を迎え撃つ。
3時間17分の超大作。スタンリー・キューブリック監督作品だが、当時のキューブリックはまだ無名だった。主人公スパルタカスを演じ、制作総指揮も兼任していたカーク・ダグラスの力が大きかったとされ、キューブリックは自分が撮りたいようには撮れず、本作は自分の作品ではないと生涯言い続けたとのこと。脚本のダルトン・トランボは、『ジョニーは戦場へ行った』の原作・脚本・監督を手掛けた人になる。
キューブリックらしいこだわりが感じられるのは、クライマックスの決戦シーンくらい。ふたつの軍が対峙する光景は圧巻で、CGのない時代だが、うまくコピーを重ねて映像として仕上げている。撮影スタッフも兵士の格好をして軍勢の中に入っていたと、かなり前に水野春郎が解説していたのを記憶している。
この決戦シーンは割と尺が短く、全体的には戦いよりも会話劇が多い。スパルタカス側もそうだが、元老院にも派閥があって特に実力者ではそれぞれに思惑がある。クラッススは当初スパルタカス討伐に興味を示していなかったが、チャンスが巡ってくるのを待っていた、あるいは仕向けていたようにも見える。後々ローマ帝国を支配する、若きジュリアス・シーザーの姿もある。
観る前までは、この物語は創作で、スパルタカスも架空の人物だと思い込んでいた。しかし、スパルタカスは実在した人物で、本作で描かれているのは歴史上「第三次奴隷戦争」に該当する。但し、史実ではスパルタカスは戦死したとされているが、本作ではクラッススの捕虜となった後に磔にされ、バリシアとふたりの間にできた幼い息子が脱出するという幕引きになっている。
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