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千年女優(2001年)

公開日: : 最終更新日:2023/01/17 今敏

千年女優(2001年)

映像制作会社社長の立花は、映画会社「銀映」撮影所の取り壊しに際し、引退していた大女優藤原千代子へのインタビューを取りつけることに成功。カメラマンの井田を伴って千代子の自宅を訪れた立花は、古い鍵を藤原に渡す。その鍵は、千代子にとってとても大切な鍵だった。

千代子は、自分の過去を語り出す。関東大震災の日に生まれ、女学生時代に女優にスカウトされる。特高に追われていた画家志望の青年を匿うが、翌日青年は鍵を残して満州に向かっていた。千代子は撮影場所が満州と知り、女優になることを承諾して自分も満州に向かう。

劇中の現実世界でのインタビュー場所は千代子の自宅の応接間だが、場面は千代子の過去や千代子が出演した映画の世界に何度も切り替わる。千代子は場面場面で10代だったり40代だったりするが、そこに立花と井田が入り込んでいる。立花は千代子に夢中、井田は状況に対するツッコミ役になっている。

立花は単に千代子のファンであるだけでなく、若い頃は銀映でスタッフとして働いていた。鍵を持っていたのは、撮影セットが崩れたときに千代子を救ったことがあり、現場に鍵が落ちていたのを拾ったからだった。

タイトルの『千年女優』だが、実際に千代子が生きた世界は大正から昭和、平成だが、出演した作品によって平安時代や戦国、江戸時代に移り変わっていることを指していると思う。

現実世界とイマジネーションの世界とが複雑に交錯するプロットは、『パプリカ』でも観たことがあって、どちらも監督は今敏。ただし、本作には原作は特になく、今によるオリジナルだ。音楽が平沢進なのも、共通している。年を重ねた女性が若い頃を振り返るというストーリー進行は、少し『タイタニック』に似ている。

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