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ザ・ファイター(2010年)

ザ・ファイター(2010年)

中量級プロボクサーのミッキー・ウォードは、戦績もぱっとせず、噛ませ犬的な試合ばかり組まされている。その試合を組むマネージャーはミッキーの母であり、トレーナーはかつてはシュガー・レイ・レナードと戦ったこともあるが、今はドラッグに溺れている父親違いの兄ディッキー・エクランドだ。

ミッキーにラスベガスのジムから引き抜きの話があるが、ディッキーも母も面白いはずはなく、ディッキーはミッキーを引き止める金を詐欺まがいのやり方で工面しようとして逮捕され、刑務所行きに。ミッキーは、母や兄と手を切ることを条件に新しいスタッフとトレーニングを再開。連戦連勝で、やがて王座への道が開けて来る。

実話をもとに作られたボクシング映画で、試合やジムでのトレーニングシーンは『ロッキー』シリーズを思い起こさせもする。しかし、それを大きく凌駕しているのが家族との対峙だ。ミッキーに過剰に干渉してくる母は、計9人の子供を抱える強くエゴイスティックな人。兄ディッキーも、過去の一瞬の栄光にしがみつき、言っていることとやっていることがかけ離れているダメっぷりを発揮。ミッキーは、いい加減彼らから離れたいと思う一方、肝心のところで情をかけてしまう。

アカデミー賞では、母を演じたメリッサ・レオ、兄ディッキーを演じたが、それぞれ助演女優賞、助演男優賞を受賞。2人とも、こりゃ賞とるわと納得させられる怪演ぶりである。特に、クリスチャン・ベールのイカレっぷりは凄まじい。ワタシがこれまで観てきた中では、『ターミネーター4』のジョン・コナーや『ダークナイト・トリロジー』のブルース・ウェイン/バットマンなど、正統派俳優のイメージがあった。それが、ココでは役のため減量して頬をこけさせ、ドラッグまみれのときはイッた目をしている。ミッキー役のを、完全に食っているのだ。

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