まんが道 青春編(ドラマ版)
富山県高岡市から上京し、プロ漫画家をスタートさせた満賀道雄と才野茂。やがてトキワ荘に引っ越し、手塚治虫が住んでいた部屋に入る。若き漫画家たちと新漫画党を結成し未来を語り合う一方、同時に多数の出版社の依頼を引き受けてしまい、「原稿大量落とし」をしてしまう。
1986年に放送されたドラマの続編として、1987年に放送。原作者の藤子不二雄Aが今年4月に亡くなったのを受け、ドラマ前作は夏に、そして『青春編』は今月再放送された。道雄は藤子A、茂は藤子・F・不二雄がモデルだが、交遊のある漫画家たちは実名で登場する。
本作のクライマックスは、原稿大量落としというプロ漫画家にあるまじき失態と、ペンネームを足塚茂道から漫才茂道に変えてのリスタートだ。やらかしは当然ながら致命的だったが、ふたりを取り巻く大人たちの、厳しくも優しい後押しが素晴らしい。ふたりの母親、上京時の下宿先の夫婦、雑誌記者、それとなく仕事を回してくれた手塚。
そして、寺田ヒロオ。寺田は早くからトキワ荘に住み、新漫画党の面々の兄貴分的存在だ。道雄や茂をはじめ、後輩たちにお金を貸したり食材をあげたりと、面倒見がよかった。ふたりが原稿を落としたときは、当然叱りもしたが、マンガをあきらめるなと激励もした。ただ、個人的に寺田のマンガは読んだことがなく、トキワ荘関連でしか見かけない。時代に呼応できないまま自ら筆を折ったらしく、ドラマ上は第14話でそのような心情を吐露している。
キャストは、前作から引き続き出演しているキャラクターは、大半は同じ人が継続している。道雄を竹本孝之、茂を長江健次、手塚を江守徹、最初にふたりを採用した雑誌記者にケーシー高峰、道雄が高岡時代に務めていた新聞社の上司に蟹江敬三。寺田は、河島英五に交代している。
東京が舞台になったことで、新たなキャラクターも多数登場。こちらが、前作以上に超豪華だ。上京後に下宿した宅の夫婦が、伊東四朗と水前寺清子。赤塚不二夫は松田洋治、石ノ森章太郎は息子で俳優の小野寺丈。雑誌編集者には、北村総一朗、肝付兼太(声優で先代スネ夫役)、野村真美、高田純次、栗田貫一ら。ふたりの部屋に転がり込む中年男性が、吉幾三(ドラマオリジナルキャラとのこと)。藤子Aも、酔っ払いの客の役でちょこっと出演している。
そして、極めつけが3人の女優だ。トキワ荘に出前を持ってくるラーメン屋の店員に、鈴木保奈美。トキワ荘に住む姉妹が、姉に高木美保、妹に森高千里。正直言って、リアルタイムで観ていたときは全く気づいていなかった(汗)。高木はこの3年前に『Wの悲劇』でデビューしていて、既に地に足がついている印象だ。
鈴木保奈美はホリプロスカウトキャラバンで特別賞を受賞し、ドラマや映画に出始めている頃。そしてこの4年後、『東京ラブストーリー』で大ブレイクを果たす。森高はポカリスエットの初代イメージガールに選ばれ、ほぼデビュー直後のタイミング。はっきり言って演技は棒で、以降音楽一本に絞ったのは頷ける。この後『ミーハー』『ストレス』で徐々に頭角を現し、南沙織のカヴァー『17才』で ブレイクするのは、2年後の1989年だ。
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