ファンタスティック・プラネット(1973年)
惑星イザクでは、青い身体に赤い目をした巨大な二足歩行の知的生物ドラーグ族が生息。人間はドラーグの手のひら程度の体長になり、ドラーグには虫ケラ同然にしか見られていなかった。悪ガキたちに母を殺された赤ん坊は、その後少女ティバに拾われてペットとなる。
赤ん坊はテールと名づけられ、常にティバのそばにいることで、ことばを始め知識を習得する。やがて成長したテールは、ペットとしての境遇に疑問を持つようになり、脱走。野生の同族と合流し、自身の知識を共有して集落の生活を進化させる。一方ドラーグは、人間を定期的に駆除することを計画していた。
フランスのSF小説のアニメ映画化で、フランスとチェコスロバキアの合作になる。画面のタッチは総じて粗く、またドラーグの生物がとにかくグロい。絵柄だけで充分すぎるほどにインパクトがあり、観る人を選ぶと思われる。
人間が、ドラーグ族からすれば小型で無力な生物というプロットは、『GANTZ』のカタストロフィー編にも通ずるが、時系列では1973年公開の本作の方がはるかに早い。小さい生物は、字幕では「人間」と翻訳されているが、地球人類とは別の種族と思われる。ドラーグの1日は、人間の一週間に該当するとされている。
そしてこのプロットは、ワタシたちの世界で人間による昆虫はじめ小生物に対する扱いと、少しも違わない。特に冒頭のシーンは、悪ガキたちにとっては遊び半分でしかないが、母子にとっては生きるか死ぬかの危機への直面である。
本作は、カンヌ映画祭でアニメ作品としてはじめて審査員特別賞を受賞したとのこと。監督はルネ・ラルーというフランス人で、バンド・デシネのメビウスと組んで『時の支配者』という作品を手がけているそうだ。
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