寺沢武一『コブラ』のテレビアニメ第1作『スペースコブラ』
劇場版『SPACE ADVENTURE コブラ』が公開から3か月後の1982年10月、テレビ版『スペースコブラ』が全31話で放送された。
原作の、初回から『シドの女神』編までをフォロー。順番は必ずしも原作通りではなく、ジゴバの話が第2話になっている。ただ、コブラがサイコガンのチューニングをする回でもあるので、記憶を取り戻し海賊として復帰するにあたり、『イレズミの女』編の前に据えたアニメ版の方が、流れとしてはスムーズに思える。
設定は基本的に原作に忠実だが、原作そのままでは尺が足りないために、補足を入れている回もある。第1話でジョンソンとして冴えないサラリーマンとして生活していたコブラが、トリップムービーを観た後にカジノで大勝ちするくだりや、記憶が戻ったコブラが最初に倒す海賊ギルドの幹部バイケンがカジノのオーナーという設定は、アニメオリジナルだ。
声優は、コブラに野沢那智、相棒のアーマノイド・レディに榊原良子。榊原はすべてのアニメ版でレディ役を担っている。自分が前に出ることはなく、あくまでコブラのサポートに徹する役どころは、一見地味だがとても輝いているように思え、それはこの人の声あってだと思う。
野沢那智は、今でこそ違和感を感じないが、最初は面食らった記憶がある。『エースをねらえ!』の宗方コーチや『釣りキチ三平』の魚紳など、当時はクールで美形の大人役のイメージがあった。それが、小粋で洒落たジョークを飛ばす三枚目キャラのコブラは合わないと思ったのだ。しかし、それも放送が始まるまでのことだった。
主題歌は前野曜子で、オープニングもエンディングも担当。特にエンディングは、大人の香りと色気を感じさせるムーディーな曲で、当時のアニメのターゲット世代の中高生よりももっと上の世代に受けそうだった。『蘇える金狼』の主題歌も担当していたことは割と早く気づいたが、ペドロ&カプリシャスの初代ヴォーカリストだと知るのはかなり後になってからで、40歳の若さで亡くなっていたことと同時に知ってしまった。
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