崔洋一さん死去
映画監督の崔洋一さんが2日に亡くなられた。死因は膀胱がんで、73歳だった。
崔さん監督作品と認識してはじめて観た作品は、原田知世主演の『黒いドレスの女』だった。映画の方を先に観て、その後北方謙三の原作小説を読んだ。原作に漂う乾いた空気感が、映像になっても損なわれていないことを実感した。その後『月はどっちに出ている』『マークスの山』を観たが、どこかに作品全体を俯瞰したかのような視点が感じられる、不思議な感触を覚えていた。
松田優作のいくつかの作品で助監督を務め、優作本人とも親しい仲だと知ったのは、作品自体を観たよりもかなり後のことだ。『遊戯』シリーズや『俺達に墓はない』、テレビドラマ『探偵物語』『断線』辺りがそうだ。同い年で在日という共通する出自から、優作は崔さんを盟友として認めていたのではないだろうか(奇しくも、死因まで同じになってしまった)。
ご冥福をお祈りいたします。報道によると、2019年にがんが見つかり、いったんは摘出するも転移が見つかってしまい、今年1月に公表されていたとのこと。監督デビューとなった内田裕也主演の『十階のモスキート』は、一度だけテレビで観たことがある。今や観たことしか覚えておらず、いつかは観直さなくてはならない。