ボヘミアン・ラプソディ ライヴエイド完全版
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最終更新日:2022/11/23
Queen クイーン, フレディ・マーキュリー, ロンドン
クイーンの、というよりフレディ・マーキュリーの伝記映画、『ボヘミアン・ラプソディ』。公開当時劇場で観たが、今回改めて観た。劇場版ではライヴエイドの演奏は4曲だったが、実際にクイーンが演奏したのは6曲だった。実は撮影は6曲ともされていて、DVDに特典映像として収録されていた。去年、BSでライヴエイドをフル収録に再編集したバージョンが放送されていた。
ドキュメンタリーではなく脚色がされていることから、当時は事実と異なる描写が結構引っ掛かった。今回は逆で、事実に即している描写の方に関心が向いた。『Love Of My Life』は、フレディが恋人メアリーのために書いた曲だが、初見のときはその知識を持たずに観たので、直後のフレディの告白とメアリーの指摘の衝撃に気が向いていた。
『Another One Bites the Dust』はジョン・ディーコンの名義だが、劇中では偶発的にイントロのリフを弾いたようになっていた。『We Will Rock You』はブライアン・メイの名義だが、レコーディングでアイディアを出しメンバーを先導したのもブライアンになっていた。
フレディがソロアルバム制作と前後してほかの3人と決裂した後、自らを改めて修復を求めた際、ロジャー・テイラーが作詞作曲のクレジットは今後すべてクイーン名義にすることを条件に出した。このやりとりは、実際にあったことだそうだ。
そして、ライヴエイドだ。PA卓には音量のリミッターがセットされていたが、クイーンのスタッフが彼らの演奏開始直前にリミッターをこっそりはずしていた。これも実際にあったことで、はずした本人が『クイーン 輝ける日々』の中で証言していた。よって、クイーンのパフォーマンスはその前までのアーティストたちよりも音圧が増強され、よりインパクトを持つようになった。
映画の冒頭は、ライヴエイドのステージ裏からまさにステージに出ていこうとするシーンで、その後結成前夜に切り替わっていた。ここまでの紆余曲折を見せられて、観る側としてはステージへの階段を上がっていくフレディの背中を押す気持ちにならずにはいられなかった。そして、フレディのピアノによって、映画タイトルにもなっている『Bohemian Rhapsody』からスタート。ショートバージョンにとどめると、ピアノを離れてステージ中央に繰り出し、『Radio Ga Ga』『Hammer To Fall』を歌い上げる。劇場公開時にカットされたのは、『Crazy Little Thing Called Love』『We Will Rock You』の2曲。前者では、フレディ自らがギターを弾きながら歌っていた。
史実とは異なるが、劇中ではこのステージに上がる前にフレディは自身がエイズに冒されていることをメンバーに明かしている。なので、メンバーは演奏中に何度もフレディに視線をおくる。特に、ブライアンの切ない表情が印象的だ。対照的に、ステージ袖では恋人を経て友人関係になったメアリー、そしてこの時点からフレディが亡くなるまでのパートナーのジム・ハットンは、クイーンとフレディのステージに魅され、気分が高揚していくのを抑えられないといった表情を浮かべていた。
ライヴエイドは、日本では土曜の夜に始まって翌日曜の正午頃まで放送されたと記憶している。個人的には、日曜午前にあたるアメリカのステージは観た記憶があるが、ロンドンのウェンブリースタジアムのステージはリアルタイムではほとんど観なかったと思う。その後流布した映像を何度も観ているが、この映画のステージも今回自分の記憶の中に加わった。
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