華氏451(1966年)
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最終更新日:2023/08/26
フランソワ・トリュフォー ディストピア
未来社会、情報はテレビによって伝達され、書物は危険なものとして禁止され、書物は通報もしくは発見され次第、消防士によって焼却されていた。消防士モンタークは書物を焼く役目を担っているが、その一方で書物に魅せられ、密かに読書に耽っていた。やがて妻リンダの密告によりモンターク宅の書物は焼却されてしまうが、逃げることに成功したモンタークは、「本の人々」が住む街へとたどり着く。
モンタークは、モノレールで偶然知り合った女性クラリスと会話を交わすうちに、書物への傾倒を深めていく。「本の人々」の街の存在も彼女から知り、そしてラストでモンタークが目にしたのは、人々が本の内容を記憶し語り継ぐ姿だった。それぞれに書物の名を名乗り、中には上巻と下巻を担当する双子も。40年以上前の作品ということもあって視覚的な効果はゼロに等しく、気合いを入れて観ないと退屈してしまいそうなのだが、このラストは感動的だ。科学の発達や規制社会という構図を、人の地道な信念と努力で克服しようとしているのだから。
モンタークの妻リンダが、2台目の大画面テレビがほしいとせがんだり、視聴者がテレビ番組に双方向的に参加できたり、と、今の世の中を予見したような設定が観られるのも興味深い。そしてこの作品の根底にある設定だが、書物を読むことにより自由な発想や思想を喚起することを抑え、テレビによって情報を操作しコントロールしようとするありさまは、日本から近くて遠い国のことを彷彿とさせるし、もしかしたら他にもそのような国は今あるのかもしれない。
リンダとクラリスは瓜二つという設定なのだが、同じ人が演じている。またタイトルは、紙が自然に燃える温度のことを指すと、劇中でモンタークが語っている。原作はSF作家レイ・ブラッドベリ、監督はフランソワ・トリュフォーだ。
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