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さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅(1981年)

公開日: : 最終更新日:2022/09/26 銀河鉄道999

さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅

星野鉄郎が、メーテルと共に銀河鉄道999号に乗って宇宙を旅してから2年後。地球は荒廃し、機械化人と生身の人間との戦いが激化していた。メーテルの音声メッセージを受け取った鉄郎は、仲間のサポートを得て機械化人の追撃を振り切り、再び999号に乗って宇宙へと旅立つ。

劇場版『銀河鉄道999』から2年後に公開された続編にして完結編になり、劇中の時間軸も2年後になっている。前作はその大半が原作やテレビ版の構成を踏襲しているが、本作はオリジナルのストーリーだ。鉄郎は15歳から17歳になり、幾分か表情が引き締まっている。

前作からわずか2年で、地球をはじめ宇宙の様相は大きく変わってしまっている。超未来的都市だったメガロポリスは瓦礫の山と化し、銀河鉄道が正常に機能しているかも危うい状態。鉄郎がなんとか乗り込んだ999号は、発車する際にレールが次々に崩れていた。

メーテルとは惑星ヘビーメルダーの衛星ラーメタルで再会するが、メーテルの表情は暗い。そして鉄郎に、どこでもいいから降りるように伝える。この後、鉄郎は黒騎士ファウストと対峙。メッセージを利用して鉄郎を呼び寄せたのは、ファウストだった。キャプテン・ハーロックと・エメラルダスは今回も登場するが、ファウスト、鉄郎、そしてメーテルを見届けるスタンスをとっている。

主要キャストは、もちろん前作から続投。鉄郎を助け機械化人を倒すヒントを授けるアンドラード星のミヤウダーは富山敬で、前作で務めた大山トチローと似た立ち位置に。999号ウェイトレスのメタルメナは、前作でガラスのクレア役だった麻上洋子と、この継承はとても嬉しい。前作でリューズ役だった小原乃梨子は、今回アルカディア号のクルーのひとりミーメとして出演している(もともとこの人の役)。

黒騎士ファウストは江守徹で、太く低い声は後発キャラであるにもかかわらずその存在感を大きくしている。ファウストがかつてハーロックやエメラルダスの同士であり、鉄郎の父という設定は、『スター・ウォーズ』のルーク・スカイウォーカーとダース・ベイダー、オビ=ワン・ケノービの関係性を彷彿とさせる。

鉄郎はファウストに、地球で自分が旅立つときに後押ししてくれた老パルチザンを父と言った。その老人は、出番はわずかながら、その行動とこどばはとても重かった。機械化人に999号の線路のポイントを変えられたのを、既に被弾し瀕死状態にもかかわらずもとに戻し、鉄郎と999号を送ったシーンは、泣けてきた。演じていたのは、森山周一郎だ。ファウストは鉄郎に、それがおまえの父かと言った。

少年が大人になるというのが『999』のメインテーマと思うが、前作では母を、本作では父を、ポイントにしていたと思う。もちろん、どちらも子供にとっては欠くことのできない、そしていつかは巣立っていかなくてはならない存在だ。なので、前作だけで完結させることはせず、本作が作られたのだと思う(車掌の正体や、機械化人がどうやって造られるかを明かすという意味合いもあった)。

エンディングで、メアリー・マッグレガーが歌う『SAYONARA』が心に染みる。英語詞だがスロー調のため聞き取りやすく、日本語訳の字幕も出ている。画面右にエンドロールが流れ、左にメーテルのアップ。その目から涙が流れ、やがて前作のシーンをモノクロで映し出す。すべてが鉄郎とメーテルとのシーンで、ふたりの別れが永遠であることを示しているのだと思う。

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