ユリイカ 2013年10月臨時増刊号 総特集 高橋幸宏
2013年に刊行された、文芸雑誌ユリイカの高橋幸宏特別編集号を読んだ。
巻頭が、幸宏とリリー・フランキーの対談。幸宏がリリーを指名したとのことだが、リリーはぬけぬけと遅刻したとか(リリーは井上陽水も待たせたことがあるそうだ)。
幸宏の身内の記事は、なかなか聞けないエピソードがあって面白かった。幸宏のいとこ(姉の息子)のデザイナーは、幼少時から成人後に至るまでの、幸宏との関わり方やエピソードなどを語っていた。学校の運動会で『Rydeen』がかかり、叔父の曲だと言って担任を驚かせていたとか。幸宏の姉も、ファッション関係の仕事に携わっている。
高野寛、砂原良徳(まりん)、高田漣による、幸宏(ymo)チルドレンの対談も興味深かった。ちょっとずつ世代の異なる3人は、YMOの原体験が中学生や小学生となっていて、受け止め方もそれぞれだった。まりんはカルトQのYMO回で優勝した経歴もあり、対談の中でデータ面を随時補足していた。高田は、子供の頃に父の高田渡にYMOのような音楽をやればいいのにと言ってしまい、渡が悲しそうな顔をしていたと語っていた。
巻末にはディスコグラフィーがあって、かなり充実している。サディスティック・ミカ・バンドに始まり、YMOやスケッチ・ショウ、ビートニクス、pupaといったバンド、ソロ活動までもちろん網羅。そのほか、映画音楽やプロデュース作品にも言及されている。執筆者は、曲提供やゲスト参加も含めると膨大になるためやむ無く割愛したとうたっているが、個人的には充分だ。
この書の刊行タイミングだが、前年の2012年に幸宏は還暦を迎え、多くのゲストを交えてのアニヴァーサリーライヴも行われていた。YMOとしての活動に区切りをつけ、ソロやプロジェクトなど自身の活動に切り替わる時期にあったと思う。2013年には、トリビュートアルバムがリリースされている。
巻頭のリリーとの対談において、リリーは幸宏の活動が多種多彩すぎることに言及している。本人は、ビートニクスも10年周期ではなくもっと早くにやりたいと語っていたが、実際この5年後の2018年にアルバムをリリースし、ライヴもおこなっている(個人的にサマソニで観た)。そして、新たなバンドを興す構想があることもちらっと言っていて、これはmetafiveを指していたのだと思う。
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