ザ・フー(The Who)『Quadrophenia And Tommy Live With Special Guests』
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最終更新日:2023/02/18
The Who ザ・フー, スティーヴ・ウィンウッド, ピート・タウンゼント, ロジャー・ダルトリー
ザ・フーが残した2大ロックオペラ、『四重人格』と『トミー』。この2作品をそれぞれ再現したツアーがあって、まとめて収録されたDVDを観た。
ディスク1:Quadrophenia Live
1996年に行われたアメリカツアーを収録。ドラマーはザック・スターキー、セカンドギタリストにピート・タウンゼントの実弟サイモンがいて、21世紀以降現在のバンドのイメージに直結している。演奏の精度も高く、これが21世紀のザ・フーの本格活動再開のきっかけになっていると思わせる。
バックドロップのスクリーンには作品のコンセプトを反映した映像が映され、物語の主人公ジミー役の人を設けて彼に要所で心情を語らせている。映画『さらば青春の光』のシーンも、適時挿入されている。映像とシンクロさせるライヴ構成にすることで、物語の世界観がよりわかりやすくなっている。またエクストラ映像にはプロデューサーのコメントがあって、俳優経験のあるロジャー・ダルトリーが構成にひと役買っていると語っている。
ディスク2:Tommy Live
こちらは1989年のツアーで、ホーンセクションやコーラス隊など大所帯編成。ドラマーはサイモン・フィリップス。また、スティーヴ・ウィンウッド、フィル・コリンズ、パティ・ラベル、エルトン・ジョンなど、映画『トミー』さながらに豪華ゲストを動員。華やかではあるが、今観るとバブリーでうすっぺらい感がぬぐえない。しかし、1982年に解散したフーのまさかの再結成とトミー完全再現は、当時相当のインパクトがあったと思われる。
ディスク3:Live Hits
それぞれのツアーのアンコールを収録していて、ベストヒット編成に。お馴染みの曲が堪能できるが、特にロジャーとピートによるアコースティックバージョンの『Won't Get Fooled Again』がある、『四重人格』の方が興味深い。ピートとロジャーとのコンビネーションは絶妙で、ほぼ直立不動で淡々とベースを弾いているジョン・エントウィッスルとは、コントラストになっている。
エクストラ映像では、どちらのツアーにもゲスト参加しているビリー・アイドルのインタビューが。個人的にはソロでのイメージが強かったが、もとはジェネレーションXというンドで、パンクの出自である。トミーでは革ジャン姿で「いとこのケヴィン」役をこなし、『四重人格』ではジミーがあこがれ(そして絶望する)エース役を演じている。薄いブルーのスーツに身を包んで歌うエース役が、かなりハマっている。映画『さらば青春の光』ではスティングが演じていたが、その面影ともダブりつつ、知性漂うさまはビリーのイメージをいい意味で裏切っている。ビリーはフーの影響下にあることをあっさり認め、抜擢されたことを光栄に思い、楽しんでいたようだ。
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