ディア・ハンター(1978年)
公開日:
:
最終更新日:2022/07/02
ロバート・デ・ニーロ クリストファー・ウォーケン, メリル・ストリープ, ロバート・デ・ニーロ, 松田優作
ペンシルバニア州ピッツバーグの製鉄所で働く、ロシア系移民の男たち。マイケル、ニック、スティーヴンは徴兵でベトナムに行くこととなり、スティーヴンの結婚式を兼ねた壮行会が実施。ニックは、その場でリンダにプロポーズする。翌日、彼らは鹿狩りに出かけ、マイケルは一撃で鹿を仕留める。
マイケルは、ベトナムの戦場で偶然ニックとスティーヴンに再会。3人はベトナム兵の捕虜になってしまい、ロシアンルーレットを強いられるが、マイケルが機転をきかせてなんとか脱出に成功する。その後病院で回復したニックは、サイゴンでロシアンルーレット賭博に興じる集団に身を投じてしまう。
ベトナム戦争を題材にした映画は数多くあるが、本作が一線を画しているのは、ロシアンルーレットを導入していることだ。その関連で、強引な設定も見られる。マイケルとスティーヴンは復員するが、ニックは現地で伝説のロシアンルーレットプレーヤーになり、車椅子生活になったスティーヴンに毎月送金している。何年も勝ち続けるなどありえないし、スティーヴンの送金先の病院をベトナムからどうやって知るのだろうか。
ピッツバーグ~ベトナム~ピッツバーグ~ベトナムと場面転換されるが、明確な区切りは示されず、いつのまにか遷移しているのが不思議な感覚だ。そして衝撃的なロシアンルーレットについ注目がいきがちだが、制作側が重きを置いていたのは、ピッツバーグでの生活の描写の方だと思われる。
マイケルたちが移民であり、コミュニティを成して生活していること。徴兵はランダムらしく、マイケルたちの友人スタンリーは免れていること。パートナーとの結婚やプロポーズといった、青春群像劇。復員後にマイケルはリンダと一夜を共にするが、恋愛感情というよりは同じ境遇に置かれた者同士がつながり合う姿のように感じた。
キャストは、マイケルをロバート・デ・ニーロ、ニックをクリストファー・ウォーケン、スティーヴンをジョン・サヴェージ、スタンリーをジョン・カザール、リンダをメリル・ストリープ。監督はマイケル・チミノ。本作はアカデミー作品賞、監督賞、助演男優賞などを受賞するなど軒並み評価が高く、マイケル・チミノにとっては代表作になっている。
目を引くのは狂気にまみれてロシアンルーレットに興じるクリストファー・ウォーケンだが、松田優作や高倉健はデ・ニーロの演技の方に刺激されたという記事を読んだことがある。高倉健は出過ぎず周囲を引き立てていると評し、松田優作は演技をしていないと思わせる(くらい自然に見える)ことこそがすごいと評していた。
調べてわかったことだが、メリル・ストリープは本作がほぼスクリーンデビュー。そして、プライベートではジョン・カザールと婚約していた。カザールは癌を患っていて、制作会社は降板を促すも、デ・ニーロやストリープらが反発したことにより、出演することができた。カザールは、本作の公開を待たずに亡くなっている。
関連記事
-
タクシー・ドライバー(1976年)
ニューヨーク。海兵隊を除隊した主人公トラヴィスは、不眠症もあってタクシーのドライバーになる。
-
キング・オブ・コメディ(1983年)
テレビのトーク番組の人気司会者ジェリー・ラングフォードにあこがれる、コメディアン志望のルパー
-
レイジング・ブル(1980年)
監督マーチン・スコセッシ、主演ロバート・デ・ニ-ロの黄金コンビによる作品で、実在したボクサー
-
ザ・ファン(1996年)
ナイフのセールスマンのギルは、離婚し子供とも自由に会えず、やがて会社も解雇されてしまう。そん
-
ミッドナイトラン(1988)
元シカゴ警察のウォルシュは、ロスの保釈金専門の金融会社を利用した被告人を、裁判の日までに連れ