*

ブライアン・イーノ(Brian Eno)『14 Video Paintings』

公開日: : 最終更新日:2022/06/21 Brian Eno , , ,

Brian Eno『14 Video Paintings』

が80年代にVHSで発表したふたつの映像作品が、2005年に『14 Video Paintings』というタイトルでDVD化されている。

『Mistaken Memories Of Mediaeval Manhattan』は、イーノがニューヨークに住んでいた頃、マンハッタンのマンションの窓から見える景色をベースにしたインスタレーションになる。アングルはほぼ変わらず、日の出から日中、夕暮れ、日没後という、時間の経過によって街並みの彩りが変化してさまを捉えている。映像に合わせて流れる曲は、『Music For Airport』や『On Land』などからだ。

当初、イーノはニューヨークには限定的に滞在する予定だったが、結局5年間住み着いたという。時期的には、自身の活動のほか、とのコラボレーションの時期だったし、『The Unforgettable Fire』制作のためにアイルランドのスレイン城まで渡っていた、という想像をしてしまう。

『Thursday Afternoon』は、裸体の女性を被写体とした抽象的な映像になる。見始めたときは静止画かと思わされるが、少しずつ女性が動き、また色彩も変化していく。同名のアルバムともリンクしているのだが、ここで使われているのはアルバムの曲とはミックス違いで、収録時間もアルバムは62分なのに対し、この映像は74分だ。

どちらも、メニューにて「Vertical」「Horizontal」から選択するようになっていて、前者は横型アングル、後者は縦型アングルでの映像表示になる。VHSのときは、前者のみだったと聞く。

正直に言うと眠気を誘う音と映像で、ヘヴィーなイーノファンや映像制作を職業にする人でなければ、需要がなさそうな作品だ。がしかし、今観ると少し古くさいが、試み自体は斬新。40年前に作られ、商品化されたという早さには感服する。80年代前半というと、MTV全盛でプロモーションビデオが作られまくっていた頃のはずで、この映像作品はそれらとは真逆に位置している。

関連記事

息子の部屋(2001年)

イタリア映画で、2001年カンヌ映画祭のパルムドール賞を受賞した作品『息子の部屋』を観た(日

記事を読む

ブライアン・イーノ展「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」

ブライアン・イーノ展「BRIAN ENO AMBIENT KYOTO」に行ってきた

新幹線で京都に向かい、ブライアン・イーノのインスタレーション展を観に行ってきた。

記事を読む

『イーノ入門──音楽を変革した非音楽家の頭脳』を読んだ

京都で開催されるブライアン・イーノのインスタレーション展「BRIAN ENO AMBIENT

記事を読む

ブライアン・イーノ(Brian Eno)のインスタレーション展「77 Million」@ラフォーレ原宿

ブライアン・イーノは、これまでにも不定期に音と映像のコラボレーション展示を断続的に行っていた

記事を読む

ブライアン・イーノ(Brian Eno)『77 Million Paintings』

ブライアン・イーノは2006年にラフォーレ原宿でインスタレーション展をおこなっていて、そこで

記事を読む

  • 全て開く | 全て閉じる
PAGE TOP ↑