トップガン(1986年)
インド洋沖でミグ28と空中戦を繰り広げた、F-14パイロットのマーヴェリック。相棒のグースと共に、アメリカ海軍航空戦訓練学校「トップガン」への派遣を命ぜられる。ライバルたちと切磋琢磨しつつ、航空物理学者で教官のチャーリーと、立場を超えて恋愛関係になる。
主人公マーヴェリックは、操縦の腕は天才的だが、無鉄砲な面もある。父もパイロットだったが謎の死を遂げていて、真相は軍事機密扱い。チャーリーとは恋仲になるも、飛行訓練中の事故によってグースが亡くなって失意のどん底に落ち、彼女もマーヴェリックのもとを去る。そして終盤に緊急出撃命令が出て、マーヴェリックは再びF-14に乗る。
ストーリーは、王道というか定番というか。恋愛あり、同僚との友情あり、その同僚の死があり、ライバルとの対立・対決を経て互いを認め合う描写あり。失意のマーヴェリックに対し、父の戦友でもあった教官が真相を明かしている。もちろん立場はあるが、この人は劇中でマーヴェリックの理解者の役割を果たしている。
個人的な見どころは、戦闘機の飛行シーンに実物を使っていることだ。俳優が演じるコックピットのアップこそ別撮りだが、アメリカ海軍が全面協力して空母や戦闘機が使用され、その迫力は凄まじい。技術的にCGなどない時代だが、ホンモノに勝るものはないと思わされる。
キャストは、マーヴェリックをトム・クルーズ、チャーリーをケリー・マクギリス、グースがアンソニー・エドワーズという人、グースの妻がメグ・ライアン、マーヴェリックのライバル的存在アイスマンがヴァル・キルマー。監督はトニー・スコットだ。
トム・クルーズはこの作品でスターダムにのしあがり、以降ほとんどの作品で主演している。現在も第一線で活躍しているのは驚異的だが、その実質的なスタートは本作と思っている。ケリー・マクギリスは『刑事ジョン・ブック 目撃者』でスクリーンデビューしたばかりで、数年後には『告発の行方』でジョディ・フォスター演じる主人公の弁護士役を務めている。
メグ・ライアンもこの時点ではほとんど実績がないが、以降話題作への出演が相次いでいる。ヴァル・キルマーはトム・クルーズに劣らない存在感を放ち、『ドアーズ』でのジム・モリソン役、『バットマン・フォーエヴァー』でのブルース・ウェイン役など、この人も後にブレイクする。
何度も観ている作品だが、今回、オープニングのクレジットにティム・ロビンスの名前があることにはじめて気がついた。当初別のパイロットと組んでF-14に乗っていたマーリンの役で、クライマックスではグースの後任としてマーヴェリックとペアを組んだ。が、はっきりとその姿が確認できたのは、ミグ28とのドッグファイトを経て帰還した際、マーヴェリックの後方に立ったときだった。セリフは、ほぼなかったと思う。
サントラも売れた。この2年前に映画『フットルース』の主題歌がヒットしたケニー・ロギンスが、ここでも『Danger Zone』が作品のイメージを決定づけ、ベルリンによるスローバラードの『Take My Breath Away』はマーヴェリックとチャーリーの愛がオーバーラップしていた。劇中トム・クルーズが身につけていたレイバンのサングラスやMA-1ジャンパーは、当時かなり流行っていた。
今年、『トップガン マーヴェリック』が公開。グースの息子がパイロットになっている。本作ではまだ幼児で、レストランでグースがジェリー・リー・ルイス『Great Balls of Fire』を歌いながら弾いているピアノに座っていた。
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