ジェフ・バックリィ(Jeff Buckley)『Live In Chicago』
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最終更新日:2022/05/29
Jeff Buckley U2, ボブ・ディラン, リアム・ギャラガー
1997年に亡くなったシンガーソングライター、ジェフ・バックリィのライヴDVDを観た。95年にシカゴのライヴハウス「メトロ」でおこなわれた公演で、この会場は2000年にスマッシング・パンプキンズが解散ライヴをおこなったところだ。
バンドは、ステージ中央にドラム、向かって右にベース、ギター、向かって左にジェフという構成。ジェフは、ほぼ全曲でギターを弾きながら歌っていた。この時点でリリースされたアルバムは『Grace』1枚のみ。よって、セットリストはおのずとこのアルバム中心になる。
『Mojo Pin』『So Real』でのエモーショナルなジェフのヴォーカルが素晴らしく、生でライヴを体験できなかったことを悔やんでしまう。ジェフは特にステージアクションがあるわけでもなく、ほぼ直立不動で歌っているのだが、響き渡る声は唯一無二だ。時折、軽いジョークを交ぜたMCも入れていた。
ほとんどの曲がミディアム調で歌主体のスタイルにつき、ラウドでアッパーなMC5『Kick Out The Jams』のカヴァーは意外だった。また、終盤の『Vancouver』は、死後リリースされた『Sketches For My Sweetheart The Drunk(素描)』に正式収録。この時点では、曲はできていたものの詞は未完だったようで、インストバージョンだった。これも貴重。
ラストは、バンドメンバーが捌けてジェフひとりになった状態での『Hallelujah』。レナード・コーエンによるこの名曲は、ボブ・ディランやu2ボノといった大御所を筆頭に数多くのアーティストにカヴァーされている。もちろんすべてのカヴァーを聴いたわけではないが、ジェフのバージョンは飛び抜けて素晴らしい。この人の声質が曲にフィットしすぎているのだ。
特典映像は、2曲のアコースティックライヴと『Grace』制作の裏側を追ったドキュメンタリーだった。後者は本人解説で、幼少期に音楽に触れた記憶や、アーティストとしてデビューするまでの過程などが語られる。『Hallelujah』カヴァーのきっかけは、オリジナルのレナード・コーエンではなく、友人にジョン・ケイルのバージョンを薦められて聴いたことだそうだ。
本作のリリースに携わっているのは、ジェフの母とバンドのギタリストでもあったマイケル・タイだった。マイケルは、その後リアム・ギャラガーのアルバムにも参加している。
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