ヴァンゲリスさん死去
作曲家のヴァンゲリスさんが、先日5月17日に亡くなられていた。79歳だった。現時点で死因は明らかにされていないが、新型コロナウイルスの治療でパリの病院に入院していたとのことだった。
多方面で活動されているが、スポーツイベントのテーマ曲や映画音楽を手掛けた人というイメージが強い。はじめて音に触れたのは、『炎のランナー』のメインテーマ曲だと思う。映画も曲も評価が高いが、曲の方は他のイベントでも流れるようになった。2012年ロンドンオリンピックの開会式では、この作品のパロディー映像と共に曲がかかっていた。
日本映画では、公開当時興行収入歴代トップとなった『南極物語』の音楽を手掛けていた。また、2002年のサッカー日韓ワールドカップでも、この人が作ったテーマ曲が事あるごとに流れていた。ワールドカップはともかく、『南極物語』のオファーを受けてくれたのは、今にして思えば快挙だと思う。
個人的には、1982年に公開されたSF映画『ブレードランナー』の音楽のイメージが強烈だ。メインテーマの吸い込まれるようなメロディーは、退廃と混沌の暗い未来世界と、人ではないレプリカントが人たらんとする生きざまの悲しさを反映していた。劇中でデッカードとレプリカントのレイチェルが心を通わせるシーンに流れる『愛のテーマ』の美しさも際立っていて、今でも時折脳内に流れることがある。
CDを買うようになってかなり早い時期に、この人のベストアルバムを購入していた。ほぼ捨て曲がないのはベストとして当然だが、にしても濃密で贅沢なアルバムと思った。
謹んで、ご冥福をお祈りいたします。手掛けた音楽は、これからも世界中で流れ続けると思います。
関連記事
-
-
メイキング・オブ・ブレードランナー ファイナル・カット
映画『ブレードランナー』の制作時から取材を敢行し、作品の裏側を克明に綴った書籍が1997年に
-
-
『ブレードランナー証言録』を読んだ
映画『ブレードランナー』(以下『2019』)の関係者4人のインタビュー集だが、そのうち2人、
-
-
ブレードランナー(1982年)
2019年のロサンゼルス。地球の環境汚染から人類は宇宙に移住するようになり、宇宙開拓にはレプ
-
-
『ブレードランナー ファイナル・カット』をIMAXで観た
SFカルト映画の傑作、ブレードランナー。オリジナルは1982年公開だが、2007年に『ファイ
-
-
ブレードランナーの未来世紀
80年代のカルト映画8本を扱った本を読んだ。 その8本というのは、デヴィッド・クローネ