GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊2.0(2008年)
士郎正宗原作の『攻殻機動隊』が押井守監督で劇場公開されたのが、1995年の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』。そして2008年、バージョンアップ版の『2.0』が公開されている。
まず、1995年の時点では技術的にできなかったであろうCG処理が、全編に渡っておこなわれている。1995年版をIMAXで観たことがあるが、音響面では格段の向上が見られたものの、映像面では残念ながら不満が残るクオリティだった。がしかし、この『2.0』の画質はすばらしい。キャラクターも街並みも建造物も、すべてが緻密でクリアに生まれ変わっている。
1995年版は、作品を彩るイメージカラーはブルーやグリーンを基調としていた。『2.0』ではオレンジを基調としていて、イメージがかなり変わった。多くのSF作品では未来社会はブルーやブラックなどをイメージカラーにしている印象があり、暖色の提示はかなり新鮮だ。
ストーリーそのものには、手は加えられていない。がしかし、人形使いの声優を男性(家弓家正)から女性(榊原良子)に変えていて、公安6課の中村の台詞も「彼」から「彼女」に変わっている。肉体を持たずバーチャルな世界に生きる生命体だからこそできる設定の変更だが、と言って1995年版を否定しているわけではなく、両方の解釈があっていいという提示なのだろう。
『2.0』のリリースがなかったとしても、古びることのない作品ではある。が、バージョンアップは嬉しいし、ブラッシュアップによって作品の別の方向性が示され、複数の解釈が可能になるのは、楽しみ方が増えることにもなるので、ありがたい。
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