『VR能攻殻機動隊』を観に行ってきた
東京芸術劇場プレイハウスで上演された、『VR能攻殻機動隊』を観た。
まず定刻に場内が薄暗くなり、ナレーションを務める声優下野紘によって解説がされた。「VR」「能(能楽)」「攻殻機動隊」の3者の融合になり、「VR」は最新の科学技術、「能」は日本の伝統芸能、そして「攻殻」は日本が世界に誇るSFマンガ/アニメだ。今回の「VR」は、専用ゴーグルを不要とする「ゴーストグラム」という技術を適用するとのこと。「能」は700年近い歴史を誇り、2008年には世界無形文化遺産に認定。「攻殻」は数種類が存在するパラレルワールド状態だが、今回は士郎正宗の原作をベースにしている。
さて本編だが、残念ながら個人的にはしっくり来なかった。「VR」「能」「攻殻」は三位一体のバランスになっているとは思えず、「能」6割、「攻殻」2割、「VR」2割で成り立っているように感じた。
「能」を観るのは今回がはじめてということもあったが、睡魔との戦いになり、集中力が落ちた。台詞の中に「攻殻」に直接的に掛かるキーワードを見つけては、なんとか理解しようとした。原作2巻をベースにした「攻殻」は、いちおう所有もし読んでもいるが、記憶が曖昧で、どこまでを実現していたかは再確認の必要がある。
そして最も期待していた「VR」だが、こんなものかなあというのが正直な感想だ。素子が分離したシーンにははっとさせられたが、バトーや素子が半透明になったり突然消えたり現れたりするところには、さほどのインパクトを感じなかった。バックグラウンドの描写にも、特筆すべき点はなかった。袖に鏡を設置していたことが後になってわかり、最新技術の駆使というよりトリックの補助を必要としていた。ワタシの座席は1階後方から3列目だったので、前列の人はインパクトを受けたかもしれない。ただ、こっちはお金を払っているので、後方だろうと通用する技術でなければ、プロとは言えないはずだ。
終演後にアフタートークがあり、監督、脚本家、大学教授2人、能楽の演者4名が登壇。話題は今回の上演ではなく、11月に「自在化コレクション」というプロジェクト始動の発表だった。
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