プリンス(Prince)『Welcome 2 America』
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最終更新日:2024/04/13
CD ジェフ・ベック, プリンス, ロキシー・ミュージック
プリンスが生前2010年にレコーディングしていながら、自らお蔵入りさせたアルバム、『Welcome 2 America』。それが、死後5年を経た昨年に正式にリリースされた。ワタシが所有しているのは、CD+ブルーレイのバージョンだ。
ベースにジェフ・ベックのツアーにも帯同したことのあるタル・ウィルケンヘルド、ドラムにクリス・コールマンを起用、そして3人の女性ヴォーカルを迎えてレコーディングされた。音は、よく言えばジャジーで密室性に溢れている。ただ、ライヴ向けの曲は少ないかなという印象。『Hot Summer』は2010年当時に世に出ていて、『When She Comes』はバージョン違いが2015年の『HITnRUN Phase Two』に収録されている。
お蔵入りにした理由は、プリンス本人でなければわからない。メディアでは、メッセージ性が強すぎて当時の時流には合わないと判断したのでは?という論調が多いようだ。
2010年暮れから2011年にかけて、プリンスは「Welcome 2 America」ツアーを敢行している。ブルーレイは、2011年4月のカリフォルニアのアリーナ会場でのライヴ映像になる。シンボルマーク型のステージに、キーボード3人、ドラム、ベース、ギター、女性ヴォーカル3人、そしてプリンスという編成だ。
ツアー名に冠していながら、アルバムからの曲は全く演奏されない。3人の女性ヴォーカルに完全に任せて、自らはステージを不在にするなどは、2002年までの来日公演では観られなかったことだ。しかしそれでも、ライヴのクオリティーが高いのは言わずもがなだ。
セットリストの半分近くがカヴァーであることに、驚かされる。自らが曲を書きプロデュースもしたザ・タイムやシーラ・Eはまだしも、締めがロキシー・ミュージック『More Than This』とは。鬼気迫るモードではなく、自らもリラックスしてライヴを楽しむモードのようだった。
プリンスの死後、未発表曲や未発表映像が次々にリリースされている。本作もその一環で、ファンとしては嬉しいところだし、まだ世に出ていない音源や映像は、もっともっと解放してほしいと思っている。
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